内容説明
たらいで洗濯する背中にそっとよりかかって感じた、亡き母のぬくもりの記憶。晩酌する父のあぐらの中で毎晩座って聴いたオノマトペ。ブラジルで運命的に出会った気高い赤毛の魔女。「普通のお母さんになってよ」と小学生の娘からいわれた日。江戸川の土手に住んでいたハーちゃん。紀伊國屋書店の新入社員時代、喫茶室で見たフランス帰りの若き岡本太郎……。思い出は、よろこびだけではなく悲しみも人に力を与えてくれる。みんな今の私を作った「集まっちゃった思い出」たち。世界的児童文学作家の人生のお手本にしたい、名エッセイ集!(解説:小川 糸)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
komorebi20
25
今年90歳となった角野栄子さんのエッセイ。父との思い出、戦後まもなくブラジルに移民として過ごした事、作家となったきっかけなど思いつくままに綴っている。特に興味深かったのは、魔女の存在を探しに各国を巡った旅の話である。「魔女の宅急便」が、グローバルであるのは、角野さんの好奇心と行動力の所以で「赤毛のアン」の世界のように想像力をかき立てる。 2025/03/31
mahiro
14
子供の頃や若いの思い出や作家になるまでなどのエッセイ、暗がりやお化けへの恐怖、大八車で作るお家などワカル〜と思う人も多いのでは、中でも青空のもと仰向けに寝そべった時、空に落ちそうという感覚はとても共感できた。又行きたいと思ったらいきなり移民枠でブラジルに行ってしまう行動力、まだ自由に海外に行けない時代、しかも治安悪そうな南米に…クリ エイティブな事をする人のエネルギーはすごいなぁ…そこで色々な人達との出会いが後の作品を作っていく力にもなったのだなあ。 2024/04/04
ゆうすけ
8
近所に魔法の文学館ができたので読んでみた。今月末にいく予定なので(土曜のチケットが当選したのは本書を読んだ効果!?)予習を兼ねてです。東京の下町に生まれ、5歳で母を亡くし、大学卒業後紀伊國屋書店の出版部に就職したもののすぐに辞めてブラジルに移民として渡る。大学の恩師のすすめで物語を書くようになりと。めちゃくちゃ興味深いご経歴。このあたりの経緯とかを個人的にはもっと知りたかった。同じような話がいろんな所に出てきて若干混乱しました。あといつ書かれたものなのか出典があればよかったかも。編集がイマイチなのが残念。2024/02/02
世玖珠ありす
3
個人的に「日本一お洒落な89歳」と思っている角野栄子さんの、想い出がぎっしり詰まったエッセイ集。 特に、父親とのエピソードが多く、その関係性がとても素晴らしい。勝手な思い込みかもしれませんが、この当時の父親像は家長としての「厳格」なイメージがありますが、このお父さんだからこそ、今の角野栄子さんがあるのだと思います。 子育て中のお父さんに、是非読んでもらいたい。2024/06/05
バジルの葉っぱ
2
葛西にできた角野栄子の文学館に行ってみたくて、前準備として読んでみた。真っ赤なメガネやワンピースを着こなす角野さんをメディアでお見かけするたびにあんなふうに歳をとりたいなぁとひそかに憧れていました。エッセイを読みそのお人柄にさらに惹かれました。2024/01/28
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