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内容説明
「カトリック哲学の第一義的にして基本的な部分が、実は生の賛美、存在の賛美、世界の創造主としての神の賛美であるということを理解しない人は、誰も最初からトマス哲学、言いかえれば、カトリック哲学を理解することはできない」。文学者一流の機知とともに描かれるトマス・アクィナスの肖像。聖人の歩みをたどりながら、哲学は神学に、神学は聖性に依存することをチェスタトンは説く。鋭敏な感覚を通して築き上げられたトマスの理論体系。それは、実際的なものと不可分であるがゆえに、われわれの精神に今も近しい。専門家から無条件の賞賛を勝ち得たトマス入門の古典。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
102
『ブラウン神父』シリーズで知られるチェスタトンが宗教論者として書いた伝記。ただ我々が想像するような伝記ではなく時系列に囚われず、テーマに沿って論じられる。正直その内容は非常に難解であり、様々な視点での宗教論や哲学が語られる。日本人である我々にとってキリスト教の聖人に関する内容は文字通り遠い国の異文化の話であり、我が身に近く馴染んでこない。しかも通常のミステリでも難解な文章をチェスタトンを紡ぐが、それはさらに拍車が掛かっている。カソリック教の聖人を理解するのは実にハードルが高いことを痛感した1冊であった。2025/04/13
Yasunori Hosokawa
10
岩波文庫で『精選 神学大全』が刊行開始したのでそれに向けての準備運動として読みました。人物伝ということですが、トマスの思想とは結局何だったのか、他の神学との相違点は何かということが、著者の言葉で思っていたよりかなりハッキリ記載、強調されていて驚きました。その道の権威お墨付ということで、その信憑性については安心できるはず。だとするとこんなコンパクトにトマスの位置づけを素人が把握できる、というのは本当に凄いことだと思います。2023/08/26
植岡藍
6
巨漢だったというチェスタトンが同じく巨漢トマスに挑んだ本。チェスタトン自身のカトリシズムや思想が色濃く出ているので公平な学術書の趣とはちょっと違うけれど、アリストテレスがトマス・アクィナスを生んだのではなく、アクィナスがアリストテレスを生んだという指摘は面白い。むしろチェスタトンがアクィナスを生んだというべき本でもある。アクィナスを知るよりも文章の奥のあるチェスタトン自身を探す方に興味を持って読んだ。2023/11/04
Ise Tsuyoshi
5
「トマス哲学は常識の哲学である、ということ自体すでに常識となっている」(p.179)。「ものは完全でないゆえに変化するが、その実在性は完全なるあるものの一部としてのみ説明できる。それは神なのである」(p.212)「たいていの場合におけるごとく、知識階級の異端者が妨げさえしなかったら、常識が当然述べるであろうことを、彼はそっくりそのまま述べたのである」(p.219)。最終章、ルターのプロテスタント神学との比較でトマスには自由主義的なところがあったことを述べるくだりは、キリスト教の門外漢には新鮮だった。2024/04/05
綾瀬恵理@稚読者
4
神学大全を読む前の入門書として良いと訳者が言っていたので通読したのだが、私にはこの系統の言い回しをする記述は堪えた。2023/09/13
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