岩波新書<br> 言語哲学がはじまる

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岩波新書
言語哲学がはじまる

  • 著者名:野矢茂樹
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  • 岩波書店(2023/11発売)
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  • ISBN:9784004319917

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内容説明

フレーゲからラッセル,そしてウィトゲンシュタインへ――二十世紀初頭,言葉についての問いと答えが重なりあい,つながりあっていった.天才たちの挑戦は言語哲学の源流を形作っていく.その問いを引き受け,著者も根本に向かって一歩一歩考え続ける.読めばきっとあなたも一緒に考えたくなる.とびきり楽しい言葉の哲学.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

目次

はじめに
目次
第一章 一般観念説という袋小路
1 どうして言葉は新たな意味を無限に作り出せるのか
新たな意味の産出可能性という問題
言語は有限の語彙と文法からなる
2 「猫」の意味は何か
「富士山」と「猫」
指示対象説
3 個別の猫と猫一般
太郎は「猫」の意味が分からない
個別性と一般性のギャップという問題
4 心の中に猫の一般観念を形成する?
「猫」は猫の一般観念を指示するという考え
批判その1──一般観念とは何か
批判その2──一般観念説はコミュニケーションを不可能にする
批判その3──観念もまた個別的でしかない
どこで引き返せばよかったのか
第二章 文の意味の優位性
1 私たちはただ対象に出会うのではなく、事実に出会う
『論理哲学論考』の出だし
語の意味から出発するのではなく、文の意味から出発する
2 語は文との関係においてのみ意味をもつ
要素主義
銘記されるべきは、完全な文の全体
3 文と事実の関係
文は事実の名前か
言葉と世界の基本的関係は真偽
4 述語を関数として捉える
「……は猫だ」の意味
命題関数
曖昧な述語
関係述語
命題関数を考えるメリット
命題関数と文脈原理
5 固有名の意味と文脈原理
指差して名づければ指示対象が定まるというわけではない
名前を尋ねることができるために、何を知っていなければならないのか
6 新たな意味の産出可能性の問題に答える
やっぱり要素主義の方がいい? そんなことはない
積み木とレゴブロック
「猫はよく寝る」と「猫が寝ている」
「猫が富士山に登った」
7 合成原理
語の意味から文の意味へ
合成原理と文脈原理は矛盾している?
子どもの言語学習
第三章 「意味」の二つの側面
1 文の「意味」
驚くべき帰結
「意味」の意味
2 指示対象と意義
外延と内包
外延と内包という考え方を拡張する
文の意義
述語の意義
3 固有名の意義
同一性を主張する文の謎
信念文の謎
私はフレーゲの解答についていけない
フレーゲ的枠組
第四章 指示だけで突き進む
1 日本の初代大統領は存在する?
指示対象が存在しない固有名は無意味か
「日本の初代大統領」という表現は無意味か?
フレーゲの解答
ラッセルの解答
2 記述理論
定冠詞“the”の意味
もうなんでもかんでも存在すると言わなくていい
確定記述と記述理論
3 本当の固有名
同一性問題と信念文の問題への応答
それは本当に固有名なのか
固有名と述語
「これ」
本当の固有名を巡る問題と解答
4 文の意味と命題
文の指示対象
命題はそれを判断する人が構成する
ウィトゲンシュタインの批判
第五章 『論理哲学論考』の言語論
1 『論理哲学論考』の構図
『論理哲学論考』のめざしたもの
言語と思考
2 言語が可能性を拓く
ラッセルの誤解
事実から対象を取り出して可能的な事態に組み立て直す
対象を組み立て直すには言語が必要
3 論理形式と論理空間
対象を分節化するには可能性を了解していなければならない
対象の論理形式は語の論理形式から把握される
為すべきは説明ではなく解明
論理形式の理解
全体論的言語観
4 論理空間と文の意味
論理空間の構成
文の意味を論理空間を用いて規定する
要素文と真理関数
5 フレーゲ、ラッセルとの対比
指示対象と意義
文の構造を捉えねばならない
6 フレーゲからの挑戦に答える
単純な対象
同一性問題
信念文の問題
7 『論理哲学論考』から『哲学探究』へ
要素文同士の論理的関係
静的言語観から動的言語観へ

おわりに
索 引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

けんとまん1007

67
言語哲学という言葉は初見。読み進めるうちに、言語を考えることは哲学そのものだと思った。一つの言葉、一つの文を考えてみると、どちらもどちら。言葉を知らないと文にならないとも思うし、一方で、文を知らないと・・・とも。言葉と文の関係を関数として考えるというのは、なるほどと思った。自分自身は、一つの言葉を大事にしたいと思うようになってから、時間をかけて(あるいは、時間をおいて)見直すようにしているつもり。興味が尽きない分野だ。2024/01/08

まこみや

61
きっかけは現代文の教材で扱った「猫は後悔するか」だった。演繹、条件法を説明する格好の論理的文章として活用した。生徒は最初戸惑いもあったが、次第に内容的にも論理トレーニングとしても興味を抱いてくれたように思う。それに気をよくして長年積読のままだった『『論理哲学論考』を読む』を手に取った。しかし木ばかり見て森が見えずというか、細部にとらわれて大筋が見えず道に迷った感があった。この『言語哲学がはじまる』のおかげでぼんやりしていたその道筋がずいぶんはっきりしてきて、私のような初心者にも歩きやすくなった。2024/02/25

あやの

46
言語哲学の研究者である彼(私の友人)が、ずーっとしゃべっていたのが正にこの本の内容だった。「ミケは猫だ」という文から「言語とは?」「意味とは?」ということを分析していく。言語学をかじり、研究者から色々聞いていた身であっても、全てを理解するのは私には無理だった笑!フレーゲ→ラッセル→ウィトゲンシュタインの主張の流れを追うのが本書だが、どうしても途中で専門用語の繰り返しで挫折する。だけど、きちんと理解できたらすごく面白いだろうと思う。せっかく出会ったので、もう少しチャレンジし続けたい学問ではある。2024/02/02

うえぽん

41
フレーゲ、ラッセル、ウィトゲンシュタインが切り拓いた言語哲学を面白がった筆者が、一般読者にその面白さを紹介するため書かれた本。3名の哲学者の難解な論理展開を素人が楽しめるように工夫されている。文は語という要素から構成されるが、一見正しそうな「語の意味を基本に文を組み立てる考え」は排除され、「言語全体との関係においてのみ語の意味は決まる」とする全体論的言語観に導かれ、最後は言語全体が変化するとした動的言語観にも言及。英語にはコロケーション辞書があって単語間関係の適否に意識的であるが、日本語でも同様であろう。2024/04/22

魚京童!

29
土屋先生が言っていたことから何も進まなかった。言語に縛られて、この世界のあり方を説明することしかできない。世界は3次元で、4次元を考えることはできるけど、無意味だ。このテーブルはその本をペン立てているのだろうか。生きることは変わること。今を生きることは今を記述すること。私は今を生きている。言語がこの世界で生きる私によって為されていることを考えると、どこかには世界が違う人がいて、解決できるかもしれないが、それは解決ではない。私の世界で、私が生きている。すべてがたゆたうこの世界で。2024/04/08

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