深海ロボット、南極へ行く - 極地探査に挑んだ工学者の700日

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深海ロボット、南極へ行く - 極地探査に挑んだ工学者の700日

  • 著者名:後藤慎平
  • 価格 ¥2,090(本体¥1,900)
  • 太郎次郎社エディタス(2023/11発売)
  • ポイント 19pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784811808642

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内容説明

世界初の南極用水中探査機開発記にして、エンジニアから見た南極観測体験記。
マリアナ海溝をはじめ国内外の深海に自作の水中探査機=ROVを潜らせてきたロボット工学者の著者のもとに、ある日、驚きの相談が舞いこんだ。
「南極の昭和基地近くの湖沼にいる生物を調査したいんだけど、後藤さん、南極用ROVってつくれる?――」
子どものころからの憧れの世界“南極”で活躍するロボットの開発依頼。二つ返事で引き受けたものの、南極の湖底って、どんなところ?! 未知の極限環境、コスト、納期……。難題をクリアしながら、日本初の南極湖沼用ROVをつくりあげ、みずから南極に赴き、湖に潜航させるまでの日々を描く。

【電子版限定】全写真カラー&特典コラム「南極観測船ミニ講義」「南極・しらせでの年越し」収録。

目次

プロローグ 超深海の世界から

1章●深海ロボット、南極をめざす

1 深海に潜ったら、南極が見えてきた
しらせの模型に導かれるように/いつか南極に行きたい/深海探査機を自作するには
南極のスペシャリストとの出会い/動きだした南極用ROV開発計画/ロボット屋だけど生物屋

2 南極用ロボット開発、始動
使える機器を、安く、早くつくらねば/南極ROV用ケーブルを共同開発
ひょんなことから超有名時計の開発者と知りあう/カシオのG-SHOCKがROVと合体?
謎の単語が飛びかう南極会議/昭和基地じゃなくて野外で寝泊まり!?/そもそも南極地域観測隊とは

水中探査機ミニ講義
水中探査機開発史/ROVを動かす基本的な原理/ROVの基本構造

3 ROV完成からはじまるつぎのステージ
南極用ROV、ついに完成/南極チームは家族のような存在/新たなステージは、冬山での訓練から
クマの恐怖と寒さに震えながらの野営/怒涛のスケジュールで「夏訓」をこなす

2章●深海ロボット、南極に立つ

1 いざ、南極へ
しらせとの2週間ぶりの再会/しらせに持ちこみたい旅グッズ/いざ、出港!/大忙しの往路
食事だ! 祭りだ!/荒れ狂う暴風圏に突入/上陸前の一大イベント、怒涛の糧食配布
彼方に南極大陸が見えてきた/南極の景色は想像とはぜんぜん違った

電子版特典コラム「南極観測船ミニ講義」

2 ようこそ、きざはし浜小屋へ
南極で山菜そばを食す/卵・パン事件、発生/恐るべき南極の紫外線
スカルブスネス探検隊、南極の岩山を歩く/わいわいドタバタのクリスマスイブ

3 嵐のなかの南極生活
氷床と岩が混在する「スカーレン」へ/恐れていたことが現実に/この過酷な場所で年越しを?
しらせへの一時退避/これぞ南極、ブリザード襲来

電子版特典コラム「南極・しらせでの年越し」

3章●深海ロボット、南極で潜る

1 南極調査用ROV、ロールアウト!
自作ROV、南極・長池に初潜入/コケボウズとの初対面/山上の湖「くわい池」の調査
仏池のコケボウズに潜む謎/オーセン湾を探査せよ!/ひとつの仮説と新たな目標/ROVの分解修理を決断

2 南極で水中ロボットにしかできないこと
水中ロボット工学者の役割とは/南極で、まさかの風邪をひく/トホホなありさまで、あこがれの昭和基地へ
もう、きざはし浜にもどれない?!/ひとまず、しらせへ帰艦/復活! ふたたびのきざはし浜へ
長池で発見した水深10mの「境界」

3 南極をあとにして
あわただしく過ぎていく復路の日々/出発から4か月、ついにシドニーに帰港/南極はいまもそこにある

エピローグ 南極へと続くそれぞれの物語
南極に行くのは現場を知るため/南極は、それぞれが得意分野で挑む場所
南極への扉はいつも突然に/いざ、新たな難題が待つ南極へ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぶんこ

39
ロボット工学者が、南極の湖に生息する生物を探査する『ROV』という遠隔操作の水中探査機を僅か半年足らずで自作し、南極観測隊員となる。今回は憧れの昭和基地には立ち寄らず、真っ直ぐに「きざはし浜」へ。天候悪化による物資補給や観測延期に見舞われる日々。炊事班もいない観測隊員での炊事。「風呂もねえ、トイレもねえ、ネットもねえ場所で、誰が『遊び』で『命がけの野宿』をしたいものか。第一次観測隊員たちが、何も無い場所に挑戦していったからこそ、いまの南極観測昭和基地の活動が成り立っている。」読んでいて感動でウルウル。2024/02/19

tetsubun1000mg

20
タイトルから深海ロボットが南極の深海を探索する話かと思ったら、南海大陸内の湖沼を探索するドキュメンタリーでした。 思っていた内容とは違ったが、深海を探索するロボットの構造や作成するために求められる性能が大まかにはつかめた。 深海潜水艇とは違って探索機を有線で沈めて船上からモニターや探索機から送られるデータを随時確認しながらの操縦になる。 探査の状況だけではなく、南極での食事や風呂など、南極生活のための事前の研修会や合宿などの様子も興味深い。 南極ではオゾンホール破壊の影響で紫外線が凶暴なのも驚きでした。2024/02/05

月をみるもの

20
わりと身近に南極行ったことのある人がいっぱいいるのだが、ほぼ理学系の人だし、映画とか記事になるのは料理人とか新聞記者。なので工学系やロジ関連の人の話をここまで詳しく知る機会はなかなかない。日本という最近まではわりと豊かだったはずの国が、半世紀以上の探査を行っても、長期的・継続的にカバーできたのは昭和基地から白瀬氷河までの100km圏くらい。広い広い南極大陸のごく一部でしかない。月とか火星では、人より先にロボットが探査することになるのだろう。著者たちロボット工学者に、まずは南極でガンバってもらわんと。2023/12/16

すくすく

12
面白かった。工学博士がROVという水中探査機を自作して南極の調査に同行した奮闘記。様々な分野の専門家である隊員一人ひとり重要なミッションを胸に南極に向かうのだ。その隊員も研究者であるわけで皆が極地探検に長けているわけではない、日本国内の何度かの訓練を経て、研究費も潤沢にあるわけでもないなかひたむきに研究と準備に奔走する著者にエールを送りたくなった2024/08/04

ぽけっとももんが

12
南極好きなので、たしかコケボウズもどこかで読んだ。南極料理人の本も読んだけれども、そのおいしそうなご飯にありつけない人もいるのか。昭和基地ではないところに拠点を置く湖沼チームはきざはし浜でキャンプする。越冬隊ではなく夏隊なので雪もなかったり気温が低くても太陽が出ていたら汗ばむほどらしい。深海ロボットなど新しいツールで南極についてもいろいろ理解が深まるのが楽しみだ。読み終わってTwitterみたら国立極地研究所がコケボウズの写真あげてました(LINEスタンプも持ってる)。2024/04/12

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