内容説明
大正十年。女学生の琥珀はハチワレ猫の案内で、ある屋敷にたどり着いた。実は琥珀は父から猫又の生まれ変わりだと言われており、半信半疑ながらもどこか懐かしさを覚える、猫の沢山いるその四季島家に入ってしまう。縁あって猫のお世話係として働くことになり、なぜか大の猫嫌いの当主の陰陽師・御影と、持ち込まれる怪異に挑む。やがてある過去が明らかになり――。ほろりと泣けてキュンとする? 大正あやかし&猫まみれ小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わたー
23
★★★★★大変良かった。時は大正十年の東京。前世は猫又だったと養父から伝えられた主人公の琥珀が、猫に導かれるまま辿り着いたのは、代々、陰陽師を生業にする四季島家。元来、猫に好かれやすいところを買われて、屋敷で猫の世話係になることから始まる物語。怪異絡みの事件に主人公が首を突っ込むことでヒーローと共に問題解決していく、伝奇モノの連作短編としての面白さもありつつ、喪う悲しみによって他者を遠ざけてきたヒーローと、そんな彼の心の隙間にするりと入り込んでいつの間にか2023/11/09
nishiyan
12
大正十年の東京を舞台に養父から猫又の生まれ変わりと告げられた女学生・琥珀がハチワレ猫に誘われて、陰陽師・四季島家で警戒心の強い猫たちの世話係となって…という猫&陰陽ファンタジー。当主の御影は猫嫌いで、過去の経験から人を遠ざけている孤独なヒーロー。最初は距離があったが、琥珀の積極さもあって、二人で怪異退治や琥珀の幼馴染を巡る事件を解決することで縮まっていくのは心地よい。前世の記憶からではなく、彼に心惹かれる琥珀、それに対して御影はふんわりとした感じが否めないのだが、二人が未来へと歩み出す様は素敵だった。2023/11/28
陽ちゃん
6
題名と表紙絵につられて購入。時代は大正十年。猫又の生まれ変わりだと父に告げられた女学生の琥珀は、昔からよく夢に見る日本家屋にそっくりな家を見つけ、偶然か必然か、その陰陽師家で猫の世話係としてアルバイトをすることに。猫まみれになる琥珀も羨ましいですが、当主の御影と琥珀の関係もいいな、と。2023/12/16
kokekko
4
積んでしまったのでパラパラとめくるようなペースで読んでいたが、途中からしっかり読んでしまった。この作家さんの本にはよくあるパターンで、たぶんこの人が何を書いても私は好きだと思う。この人の描く世界の中に、私が思う「それはないだろう」という要素(模糊としている)があんまりないからだ。人々の好意はいつも同じ強さや同じベクトルというわけではないけれど、それでも互いに尊重し合って慈しみ合うことはできる。それが人でも、人ではなくても。いいお話だった。2023/11/29
ぢぢぃ
2
守るんだい2023/11/28