内容説明
清の初代皇帝、英雄・ヌルハチの生涯。
父と祖父を殺されたヌルハチは、復仇のために立ち上がった。
挙兵後、敵対勢力を次々と制圧し、全女真人の頂点に上り詰める。
それは強大な明との対決を意味していた。
圧倒的な大群に対し、ヌルハチの策はーー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
20
モンゴル帝国に滅ぼされた金(1115-1234)から400年後に、女真族による「金」(後金)のハン、君主となったヌルハチの一代記。「後金」はヌルハチの死後「明」を滅ぼして国号を「清」と中国全土を支配したため、ヌルハチは実質的に「清」の初代皇帝とされています。その若い頃、エイドゥという青年を部下とした時代から語り起こし、数十人、数百人の兵を率いるようになり、ついにサルフの戦いで明に大打撃を与えて国家を確立させるまで。冒険小説的に書かれているので、深刻に構えず気楽に小前節を堪能しましょう。2024/12/31
電羊齋
11
清朝が編纂したヌルハチの一代記『満洲実録』などの史料と近年の歴史研究をうまく作品に取り入れている。ヌルハチの「五大臣」(日本の「徳川四天王」に相当するかな)の一人のエイドゥを副主人公に据えたストーリーも巧み。小説の構成上、複数の史実を混ぜて一つの出来事にまとめたり、他の人物がしたことをエイドゥの事績にしたり、脚色を加えている箇所も多いが、これも史料と研究を消化して、わかった上でそうしているように見えた。文章も読みやすい。2024/05/19
FUJI燦々
1
小前さんの歴史ものはデビュー作から興味深く楽しませてもらってます。ただ題材にそれほど興味が惹かれない作品にはそれほど食指が動かないんだよなぁ。清国につながる女真族の英雄ヌルハチには興味があったのですごく楽しめました。やはりチンギスハンことテムジンの物語と近い経緯があったんですね。中国周辺の騎馬民族は名の上がらななかった人も含めて同様の苦しみがあったのかもしれません。歴史人物の小説に関してはいつも思うんですけど、もう少し詳しく踏み込んだお話にしても良いんじゃないかと感じました。2024/05/24
とめきち
1
戦闘シーンがとても多くて楽しめました。北の大地の寒さもよく伝わってきました。戦争に勝って人間を自分の領土に連れて帰るところが人間そのものがこの地域の最も貴重な資源であることがよくわかりました。2024/02/20