ちくま新書<br> ルポ 歌舞伎町の路上売春 ――それでも「立ちんぼ」を続ける彼女たち

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ちくま新書
ルポ 歌舞伎町の路上売春 ――それでも「立ちんぼ」を続ける彼女たち

  • 著者名:春増翔太【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2023/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075925

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内容説明

2022年の晩秋、歌舞伎町の一角で「立ちんぼ」をする若い女性が急増した。「たちんぼ」とは路上売春のことだ。風俗店で働くのとは違い、買春客に金を奪われたり、ラブホテルの密室で暴力を振るわれたりといったリスクがあるにもかかわらず、彼女たちはなぜ路上で「売る」のか。毎日新聞社会部記者が、60人以上の女性たちのほか、自分たちに貢がせようとするホストたち、彼女らを支援し続けるNPO、路上売春を取り締まる警察など、100日以上にわたって多角的に取材、その「リアル」に迫ったルポ。

目次

プロローグ/第1章 歌舞伎町の「立ちんぼ」スポット/薄暗い路上で/売春女性が集まる公園/取材の始まり/相場/それぞれの事情/みつぐために/より安く、より若く/路上売春の急増/観光地化/無断で撮影し投稿/隣り合わせの危険/ネットを避けて路上で/買春する男たち/彼女たちの人間関係/戦後生まれの歌舞伎町/性風俗のきっかけは売春防止法/街の繁栄とともに/昭和から平成へ/21世紀の「浄化作戦」/第2章 彼女たちのリアル/1 「別にずっといたいとは思わないけど」……ユズ/ネカフェ暮らし、ホスト通い/自分の値段/札幌のホスト/キャリーケース一つで上京/「出稼ぎ」と「裏引き」/介護施設に就職/3週間で逆戻り/再びホスト通い/2 「私はね、家族が欲しかったんだ」……モモ/初めて迎えた歌舞伎町の冬/「家みたい」なホストクラブ/虐待を受けた幼少期/「愛情が何かは知らないんだよね」/3 「愛を探しに来たんです」……レイ/声をかけられて/施設を転々とした日々/「愛を探しに」/「病気をきちんと治したい」/第3章 ホストの沼/私のラスソン/みつぐための売春/500万円のおねだり/飛び降り騒ぎ/「その女の人は知ってるよ」/「担当」への愛憎/負の連鎖/変わらない業界の風潮/勧誘の場はSNS/10代も通う「メンコン」「メン地下」/女性客を「沈める」/ホストの「沼」/第4章 手を差し伸べる/深夜の薬局へ/目の前の困り事/午前1時の相談/海外で目にした売春の光景/支援の日常/居場所となる相談室を/支援の輪/活動資金の悩み/行政と民間団体の協働/第5章 取り締まりのジレンマ/「もう絶対、捕まりたくない」/買春は罪にならず/珍しくない逮捕事案/警察の「説諭」/いたちごっこ/専門相談員/売春をさせる「構造」/「風俗やりなよ」/「めちゃくちゃ試行錯誤」/第6章 彼女たちはどこへ行くのか/1 「誰にも知られたくなかった」……ユズ/望まぬ妊娠/「産みたい」/母親の思わぬ発言/捨てようとした過去/居心地のいい場所/「また東京に戻ってくる」/郷里にて/2 「ちゃんとした家族が欲しい」……モモ/「もう疲れた」/15歳の少女/臨月/「友達と一緒に住むから」/3 「この街に愛はなかったです」……レイ/病院を抜け出し/トラブル続き/次の居場所/「しあわせになりたい」/4 「プラスでもマイナスでも、リセットされる街」……鈴木涼美さん/5 「自分に関係ないと見切れば、大久保公園の現象に加担するのと同じ」……宮台真司さん/エピローグ/あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

126
昭和の末、新宿から新大久保の一帯には東南アジアや中南米から来た娼婦が群れていた。令和の同じ場所に日本人女性ばかりなのは、平成の30年間で日本が貧困化した証左だろう。しかし、あえて身を売る女たちに「なぜ孤独を恐れるのか、自分を低評価するのか、忍耐を拒むのか」と問いたい。少なくとも外国人娼婦には金持ち日本で稼ぎ、本国の家族を養おうとする強い覚悟があったが、今立っている女は孤独を嫌ってホストに貢ぐため売春し、それを幸福と感じるほど自らを貶め、脱け出すため必要なガマンを嫌がるのか。破滅を望んでいるとしか思えない。2024/02/07

kinkin

86
新宿歌舞伎町周辺で「立ちんぼ」と呼ばれる娼婦たちに目を向けたルポ。以前からは外国人が多かったたが今では日本人が多いようだ。どうみても未成年と思われる女の子から、熟年層まで。手っ取り早く現金が手に入ることが増加なのか。その現金は彼女たちの ホスト狂いに使われる事が多い。2万円から3万円くらいまで、時には2万円を切るときも。避妊をせずに妊娠しても中絶の費用がなく困る女性、性病の感染、 客からの暴力まで。著者は女性にインタビューをしていくが 国会議員がネコババ、税金未納をする国がどんどん堕ちてゆく。図書館本 2024/04/21

どんぐり

80
歌舞伎町の新宿区立大久保公園周辺の「立ちんぼ」スポット。夜の公園に集まり、男から声をかけられるのを待つ女性たちを追ったルポ。コロナ禍の2020年頃から、路上に立つ女性たちが目につくようになったという。家庭環境の問題から逃れようと東京に出てきて、ネットカフェで寝泊まりして、男を見つけては売春で金を得る。やがてホスト通いが始まり、ホスト依存の金策と売春の悪循環から抜け出せなくなっていく。そんな子たちが登場する。→2024/09/16

GAKU

42
親に愛された事が無い。まともな家庭というものを知らない。そんな娘達がホスト、ホストクラブに愛や家族を求め、結果売掛金を背負う。そして売春へという負の連鎖。単に補導して、「売春はいけない」だけでは解決しない。このような現実があるという事に、暗い気持ちになります。2024/04/08

まゆまゆ

15
路上売春のために男を待つ女性の実態や背景を探るルポ。貧困や虐待といった家庭背景もあるが、これまでの自分をリセットして一からやり直せる、というような雰囲気がある歌舞伎町という街の力みたいなものもあるんだろうか。自立に向けては一人ひとりに寄り添った対応が必要だが、多すぎて支援の手が回らないのが実態のよう。2024/03/28

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