ちくま新書<br> 「家庭」の誕生 ――理想と現実の歴史を追う

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ちくま新書
「家庭」の誕生 ――理想と現実の歴史を追う

  • 著者名:本多真隆【著者】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 筑摩書房(2023/11発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075901

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内容説明

イエ、家族、ホーム、ファミリーなど、多くの名が生まれた理由は、その言葉を用いないと表現できない現象や思いがあったためだ。「家庭」には、リベラル、保守、それぞれの理想が託されてきたが、一方でその理想と現実には様々な乖離があった。明治から昭和、平成、現代まで、それらをめぐる錯綜した議論をときぼぐしていくことで、近現代日本の新たな一面に光をあてる。

目次

序章 イデオロギーとしての「家庭」/1 「家庭」をめぐる錯綜/2 本書の視点と方法/第一章 「家庭」の誕生──「ホーム」の啓蒙/1 「家庭」と文明化/2 「家庭」の何が新しかったのか/3 「家庭」と国家/4 理念先行の「家庭」/第二章 サラリーマンと主婦──「家庭」と国家統制/1 「家庭」と新中間層/2 「家庭」と女性/3 「家庭」と国家統制/4 「家庭」と戦争/第三章 「明るい民主的な家庭」の困難──「家」から「家庭」へ/1 家制度の解体と存続/2 民主主義と「明るい家庭」は両立するか?/3 逆コースと「家庭」/4 「家庭」の合理化/第四章 企業・団地・マイホーム──一億総中流と「家庭」/1 高度経済成長と「家庭」/2 「マイホーム」の家族問題/3 「家庭」の再編と政治/4 「民主主義」の模索と「家庭」/5 一億総中流の実態/第五章 理念と実態の乖離──むき出しになる「家庭」/1 「家庭」の飽和/2 伝統化する「家庭」/3 「家庭」の限界/4 バックラッシュと「家庭」/5 孤立化する「家庭」/終章 「家庭」を超えて/あとがき/注/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

buuupuuu

21
夫婦の睦み合い、性別による役割分業、母親による子育て。こうした家族のあり方に象徴される「家庭」は、家制度に対立するものとして明治以降になって登場し、高度経済成長期に一般化した。「家庭」は、社会構想の中で様々な役割を持つものとして捉えられてきた。例えば、民主主義が涵養される場であるとされたり、人材育成や憩いの場であるとされたりした。ある家族の形が成り立つかどうかは、人々の願望だけでなく、経済状況や利用可能な社会的な資源によっても左右される。現在はそういったものらがちぐはぐになっているような印象だ。2024/02/16

まゆまゆ

15
家庭について明治期から現代までの歴史を紐解いていく内容。日本の伝統的家族観と呼ばれるのは、母親中心の子育ての場であり、個人の権利を唱えることのない情緒的な空間であるとされている。かつての家制度が明治期に変化してから戦後を経て男女雇用機会均等法までは家庭イコール女性との理解が大半だった。今もそのイメージが根強く残っているが、多様性が叫ばれる現代では個人が弱まることで家庭を築くことが難しくなっており、保守のいうかつての家族観の復活は簡単ではない。2024/01/11

小林涼太

8
良書どころか神書だな。 確かに家制度、家庭、家族、こういったカテゴリーの歴史的変遷に関する本は見たことがない。見事にまとめられている。300ページ越えの大作であるから、読破には多少の時間はかかるだろうが、その時間を惜しむ必要はないものだった。 特に注目したいのは、母性保護論争(pp114-117)は今でも普遍的な家族のあり方を考える上で重要。また、著者の主張も逆説的でなかなか面白い。詳しくはp332以降を参照してほしい。 最後にこの文章を引用したいが、余白が足らないので割愛する。2024/04/22

馬咲

5
伝統的な「家」制度との対比で進歩的な家族のあり方として語られた明治初期から、保守派のキーワードとなっていく戦中戦後、ライフスタイルの多様化や社会経済的基盤の弱化で旧来のモデルが通用しなくなってきている現在までの、「家庭Home」論の変遷を概覧できる一冊。「家庭」は、その重要性自体はイデオロギーの左右を問わず共有されてきた概念であり、私的空間とされつつも国家や社会の構想と不可分に展開されてきた、実に民主主義的なテーマだということを再認識する。2025/03/08

おさと

5
「家庭」という言葉。これも西洋化とともにやってきた新しい言葉だった。こういうこと勉強してんのかな、いろいろ反対してる政治家のヒト。2024/08/14

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