内容説明
2022年11月に実施され,都立高校の入学者選抜の資料として利用された「ESAT-J」(東京都の英語スピーキングテスト)にはさまざまな問題点が指摘されている.今後の改善レベルにとどまらないこのテストとその入試への利用が孕む深刻な欠陥を検証し,全国で同種のテストが導入されることの危うさを訴える.
目次
はじめに………大津由紀雄・南風原朝和
第1章 ESAT-Jとは何か?………沖浜真治
第2章 入学者選抜試験としてのESAT-Jの公平性と合理性
――不受験者に対する措置に焦点をあてて………南風原朝和
第3章 入試への英語スピーキングテスト導入を検討する際の基本事項
――急ぎ過ぎた都教委が見落としたもの………羽藤由美
第4章 なぜ東京都はESAT-Jの実施にこだわるのか………大津由紀雄・久保野雅史
教師から1 「話す力」を付けるとは………教員A
教師から2 誰のための教育か………教員B
保護者から1 不誠実な対応に不信………保護者A
保護者から2 当事者不在のESAT-J………保護者B
ESAT-Jの経緯に関する年表:国・都の動きと反対運動
感想・レビュー
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Hachi_bee
3
それでも都教委は実施&高校入試への活用を継続するのですね。 https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/content/files/esat-j/r06_jh3_summary_and_sample.pdf 娘が小学校に上がるか上がったかの頃、自分の住む県の高校入試制度が猫の眼の様に変わっていました。娘の頃にはどうなっているか想像もつかず、不安に駆られ、自分自身は効率経験しかないのに、娘には中学受験をさせてしまいました。都は大丈夫か?2024/04/14
taverna77
2
現実なのか虚構なのかもはや分からなくなって頭が混乱する。まるで小説を読んでいるみたい。意味が分からない文を出題しておいて『意味が分かるように』音読せよという指示は成り立たず明らかな問題ミス/制度に組み込まれた不公平が存在する/それなりに時間をかけて実施し、採点して得られた得点差をこのようにつぶすことは、テスト結果の持つ情報量をみすみす捨てることになりコストの無駄遣い意外の何ものでもない/統計的回帰とよばれる普遍的な現象/入試日程より3か月も早く実施せざるをえないのは、CBTの技術が水準に未達だから…2023/11/12