内容説明
五千日も続く冬の到来を前に、竜座の第三惑星では大混乱が生じていた。原住種族ヒルフのなかでも蛮族として知られるガールが、他部族の食糧を略奪しに北から移動してこようとしていたのだ。この惑星に移住して、何世代もたつ異星人ファーボーンは、ガールの大軍に立ち向かうべく、ヒルフの温和な部族トバールと同盟を結ぶ。だが、ファーボーンの頭アガトとトバールの族長の娘ロルリーが出会ったとき、事態は大きく展開するのだった…異種族間の相克を、ル・グィンがみずみずして筆致で鮮やかに描いた、『ロカノンの世界』につづく長篇第2作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くたくた
20
Kindle版の方に感想入れました。→ https://bookmeter.com/reviews/1283456632025/06/07
roughfractus02
11
地球からの移民が到着して数十世代後、移民の末裔の族長との結婚を控える女性はこの辺境の惑星の原住民である。時に敵対してきた2つの種族だが、起源が異なる生物である両族の婚姻と出産も命懸けだという。そんな条件を受け入れる女主人公の下に蛮族の襲来が報じられる。未曾有の大群と迎え撃つ愛する男の死の運命を想いつつ主人公も戦いに備えて死を覚悟する。作者はこの舞台に公転周期が人の一生と同じで春に生まれとても長い冬を過ごす時間を与えた。読者は移民に始まる歴史と厳しい自然を背景とするこの星の異文化に接しつつこの戦いを見守る。2023/12/22
アルビレオ@海峡の街
9
文字通り「辺境の惑星」である竜座の第三惑星に植民し、数十世代を経て忘れ去られた人類(ファーボーン)たち。世代を重ねるうちにテクノロジーの伝承もほとんど絶え、半ば中世のような暮らしをしている。コミュニティの人口も不妊などで減少し閉塞感が漂うなか、ファーボーンの指導者アガトと原住民族ヒルフの少女ロルリーが出会う。互いに相容れなかった二つの種族が、蛮族の襲撃を機に協力し融和へと向かう。静かだが希望へとつながる良い作品だった。2023/04/12
DEAN SAITO@1年100冊
8
『辺境の惑星』で描かれるのは文明のたそがれ。ハイニッシュ・ユニバースシリーズとしてはまだ2冊目。なので『闇の左手』のように、「異質な他者同士が分かり合うことの絶望的な不可能さ」と、「それでもそこにある鈍く光るかすかな希望」、といったような境地にまでは至っていないが、「SFとは何か」を読者に問いかける、ファンタジー色の強い独特な作風は、紛れもなくル・グイン。2019/01/30
DEAN SAITO@1年100冊
6
『幻影の都市』を読んだので再読。初読では事前情報なしで読んだのでこの2作がハイニッシュものの中でも結びつきが強い姉妹作とは気づかず。読みが浅かった…。2020/04/01
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