内容説明
左右田始、職業俳優。ベテランだがその名を知る人は少ない。しかし脇役だからこそ見えてくることがある。低予算ドラマ撮影、子役オーディション、映画のレッドカーペットイベント……様々な現場で生じる謎を左右田は人知れずに解決していく。エンタメ業界の「あるある」もふんだんに交えながら描く、ライトミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kei302
50
端役専門のベテラン俳優 左右田始(50)が現場のトラブルを地味に控え目に解決に導く。面白かった。左右田は一日にして成らず。人間観察の鋭さが光る。続編出てほしい。2024/02/15
sayuri
50
「消えもの」「ライト」「ステージママ」「きっかけ」「雲がくれ」の5話とエピローグで構成された連作短編集。主人公は左右田始(そうだはじめ)、50歳、職業俳優。端役専門の無名俳優だが、長年に渡り芸能界の荒波を乗り越えて来ただけあって鋭い観察眼を持つ。様々な現場で生じる謎を左右田が名探偵のごとく、さりげなく解決に導いていく。役者としては華がなく残念なおじさんだけど、人との接し方に温かみを感じ決して出しゃばらない所に好感を持てる。派手な展開はなく淡々とした印象だがライトなミステリーを楽しみたい方におススメの一冊。2024/01/15
よっち
40
ベテラン職業俳優だが無名のオジサン俳優・左右田始。しかし脇役だからこそ見えてくる視点で様々な現場で生じる謎を左右田は人知れずに解決していくライトミステリ。低予算ドラマ撮影で消えもののエクレアが亡くなってしまった事件、横暴な人気者が参加したドラマの打ち上げでライトが消えた理由、子役オーディションに付き添っていた母親が抱いていた想い、演劇舞台で切れてバラバラになったネックレスの真実、試写会を雲隠れした人気俳優の行方。要所で状況が見えている左右田の配慮が効いていて、目立たなくてもこういう存在は欠かせないですね。2024/02/06
Karl Heintz Schneider
38
左右田始は主にテレビドラマで活躍する51歳の俳優。教師・弁護士・刑事など堅い職業の役を振られることが多い。しかしながら役名が与えられることはほとんどない。キャスト・スタッフ・制作者の思惑が入り混じり撮影現場ではいろいろな事件が起こる。左右田はそんな事件を冷静に観察し見事に解決に導いてしまう。「スポットライトの当たらない場所にいると人の陰がよく見える。」なるほど!と納得しつつも、そんな暇があるんだったら、もっといい役をもらえるように自分を売り込めんだ方がいいのでは?と思うのは大きなお世話か。2024/04/03
ダミアン4号
37
彼の名前は左右田始/そうだはじめ。年齢、50代。ベテランの“大部屋”俳優だ。演技下手ってわけじゃない。努力不足っていうわけでもない。ただ役者に一番大事な“華”がないからワンカット出演のドラマ俳優のまま。そんな左右田が出会った5つの事件。事件と言っても人が死んだり車が爆発したりはしない。深夜ドラマの撮影現場、オーディションの控室、ドラマ撮影の打ち上げ会場、映画の制作発表会場…放置すれば醜聞になり兼ねないを事案を解決する。謎解きの後も主役にはならない。左右田始…彼はやっぱり“師”や“士”の役が似合う役者なのだ2024/03/18