内容説明
後世の人々よ、本ものの宇治十帖を語ろう、語りましょう――。源氏物語が世に広まって百年あまり。改竄され流布した物語を正すため、紫式部が怨霊となって蘇り、宇治十帖のその真の姿を語り出す。やがて発表された物語は、人々の思惑とともに時代を動かし始め、壮大な女たちの裏切り合いに発展していく――。読売文学賞、野間文芸新人賞の二冠に輝いた、嘘と欲望渦巻く、全く新しい源氏物語。(対談・保坂和志)
感想・レビュー
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Matoka
11
なかなか…。読むのにとても時間かかかった。宇治のパートの語り口はとてもよかった!蝦夷とか海賊のパートが読みにくいのと結局何が何やらわからなくて、挫折しそうになりながらもなんとか読了。物語が入子状態になってて不思議な世界観だった。2024/03/07
Ryo0809
0
藤原姓の娘、藤(紫)式部が平安後期に憑依して語り始める…。宇治、憂し、氏という三つの語と藤、紫、源という語がどこまでも絡みあっていく。宇治は宇治十帖に、憂しはこの世の乱れと憂いを、氏は台頭し始める武門に、それぞれなぞらえている。憑坐を介して物語る式部の語り口が面白い。物語のはずが書となり広く読まれ出すと、いつの間にか現実と溶け合って見境いがなくなる…。その何とも言えない頼りなさ(浮遊感)が楽しめる不思議な「書」。仕掛けられた伏線を読み解ければもっと楽しいのだろうが、一読後ではそこまで辿り着けずだった。2024/01/18