内容説明
後世の人々よ、本ものの宇治十帖を語ろう、語りましょう――。源氏物語が世に広まって百年あまり。改竄され流布した物語を正すため、紫式部が怨霊となって蘇り、宇治十帖のその真の姿を語り出す。やがて発表された物語は、人々の思惑とともに時代を動かし始め、壮大な女たちの裏切り合いに発展していく――。読売文学賞、野間文芸新人賞の二冠に輝いた、嘘と欲望渦巻く、全く新しい源氏物語。(対談・保坂和志)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
51
面白かったです。紫式部が怨霊として宇治十帖の真の姿を炙り出すことで、やがて時代を動かし始めたのみならず女たちいの裏切りに発展していくのにのめり込みました。嘘と欲望に渦巻いた物語。全く新しい源氏物語と言えるでしょう。2025/04/30
Matoka
11
なかなか…。読むのにとても時間かかかった。宇治のパートの語り口はとてもよかった!蝦夷とか海賊のパートが読みにくいのと結局何が何やらわからなくて、挫折しそうになりながらもなんとか読了。物語が入子状態になってて不思議な世界観だった。2024/03/07
播州(markⅡ)
7
まーた古川さんが失われた、あるいは隠された物語を語ってらっしゃる。そしてそれは犬や馬の話でもある。とうほぐの話でもあったはずだ。時代的には平家のような武士の話でもあろう。早蕨の柄を持つ刀をばら撒く東北勢。海賊からも襲われない海の現人神。ひたすら殺人の技を磨き続けてきた蝦夷の武者たち。そして今流布しているものは偽物だと断じる紫式部の亡霊。それぞれの思惑が交わって、一つの大きな流れを作る。なくはなかったかもしれない歴史にぞくぞくする。さて、宇治十帖の真贋の説があるなか、大胆で豪胆な作品である。2025/11/26
Ryo0809
1
藤原姓の娘、藤(紫)式部が平安後期に憑依して語り始める…。宇治、憂し、氏という三つの語と藤、紫、源という語がどこまでも絡みあっていく。宇治は宇治十帖に、憂しはこの世の乱れと憂いを、氏は台頭し始める武門に、それぞれなぞらえている。憑坐を介して物語る式部の語り口が面白い。物語のはずが書となり広く読まれ出すと、いつの間にか現実と溶け合って見境いがなくなる…。その何とも言えない頼りなさ(浮遊感)が楽しめる不思議な「書」。仕掛けられた伏線を読み解ければもっと楽しいのだろうが、一読後ではそこまで辿り着けずだった。2024/01/18
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