ちくま文庫<br> うんこ文学 ――漏らす悲しみを知っている人のための17の物語

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ちくま文庫
うんこ文学 ――漏らす悲しみを知っている人のための17の物語

  • 著者名:頭木弘樹【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2023/11発売)
  • 真夏も楽しく!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/11)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480438669

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内容説明

うんこ。だれでもうんこをする。日々のことだから、ときには失敗もする。でも、みんなそれを隠す。うんこは下品、汚いと嫌がられる。下ネタとして笑話にするのがせいぜい。人前で漏らしたりしたら、それだけで多くを失ってしまう。それはなぜなのか? 生きるかなしみとしての排泄、漏らしたときのせつなさ、それを見事に描ききった文学作品を、自身も漏らしたことのある編者が集めた、渾身の名作選!

目次

編者からのご挨拶 生きるかなしみとしての排泄/第一便 ある日、ついに……/[帰り道で漏らす]私小説 出口 尾辻克彦/[家から最も遠い地点で]エッセイ 春愁糞尿譚 山田風太郎/第二便 人間としての尊厳を失う漏らし/[大勢の前で漏らす]感染症小説 コレラ 筒井康隆/[漏らさせられる]フランス文学・評伝 ルイ十一世の陽気ないたずら(抄) (『おかしな小話』より) バルザック[品川亮 新訳]/第三便 隠せないにおい/[においが教室に充満]自叙伝 ヒキコモリ漂流記 完全版(抄) 山田ルイ53世/[ドリアンだと思ったら……]エッセイ 黒い煎餅 阿川弘之/[親子三代]エッセイ トルクメニスタンでやらかした話 阿川淳之/第四便 うんこへの特別な思い/[夕陽を見て漏らす]エッセイ 石膏色と赤 吉行淳之介/[美しい便の幻想]日記形式の短編小説 過酸化マンガン水の夢 谷崎潤一郎/[よくないものを出す]落語 祝の壺 桂米朝/第五便 うんこと真剣に向き合う/[自分の大便を見つめる]随筆 黄金綺譚 潔癖の人必ず読むべからず 佐藤春夫/[あえて外で出す]実践談 野糞の醍醐味 (『くう・ねる・のぐそ 自然に「愛」のお返しを』より) 伊沢正名/[うんこへの思いを分類]評論 スカトロジーのために (『スカトロジア(糞尿譚)』より) 山田稔/第六便 うんこのせつなさ/[トイレを使わせてもらえない]韓国文学 半地下生活者 ヤン・クィジャ(梁貴子)[斎藤真理子 新訳]/[女性が大を漏らす]少女マンガ ピクニックにきたけれど…の巻 (『つる姫じゃ~っ!』より) 土田よしこ/番外編1 お尻の拭き方 お尻を拭く素晴らしい方法を考え出したガルガンチュアに、グラングジエが感心する (『ガルガンチュアとパンタグリュエル物語』より) ラブレー[品川亮 新訳]/番外編2 編集者の打ち明け話 お尻と大便のことにつきまとわれる 品川亮/あとがきと作品解説

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぶち

89
読友さんのレビューを拝読して、こんなアンソロジーがあることに驚き、ぜひ読んでみたいと思いました。小説、エッセイ、自伝、体験談、落語、漫画まで、様々なジャンルから幅広く選び抜かれた17作品が収録されています。冒頭に収録された芥川賞作家・尾辻克彦(赤瀬川原平)の作品・『出口』に、まずガツンとやられました。だれもが隠して語らない排泄の失敗を、見事に描いています。朝井リョウさんの『ゆとりぬシリーズ エッセイ』のように、漏らすという失敗の悲しみを様々に表現した作品がもっと増え、楽しませてくれることを願っています。2023/10/17

fwhd8325

74
なかなか読めずにいました。子供の頃の苦い思い出は、大人になって色褪せいましたが、再び鮮やかに目の前に現れたようです。なるほど、文豪も誰も彼も同じじゃないか。苦い思い出としてしまっておくことなく解放してあげることが第一歩なんだ。2025/07/13

まこみや

74
当人にとっては悲劇だが、第三者にとっては喜劇となる。うんこにまつわる体験はそのことを頗るよく示す例だろう。人前で漏れそうな危機を必死で堪える悲愴感・絶体絶命感を経験したことがない人は稀だろうし、その果てに漏らしてしまい、人としての尊厳が崩壊するような絶望感・呆然感を知る人も少なからずいると思われる。なんと大仰なと笑って済ませられる人は幸運な人である。その体験は語るにしろ聞くにしろ笑いに包んでしかやりとりしにくいものである点も深く頷くしかないものだ。生きることの悲劇と喜劇をうんこほど端的に示すものはない。2023/09/19

shikashika555

58
「漏らす」ことは何故かほどまでにひとを打ちのめし尊厳を損なうのか。 そしてそこから自分を立ち直らせるため、救いを求めるためにも文学は存在する。 いま、ここで その力や救いが得られなくても、時代を超えて残る文学や芸術作品を媒介にすることで、今の時代に同じ経験を抱える人とも繋がっていかれるかもしれない。 これらが読まれているという事がすなわち、同じ体験を有する人の存在を浮かび上がらせているのではないか。 2023/03/05

たまきら

51
みんな避けて通れないこの生理現象。自分が思いついただけでも色々あるけれど、ここでは格調高いものから脱力してしまうものまで様々な文章が紹介されています(マンガもアリ)。まあ漫画はわたしならアラレちゃんを紹介するけどなあ…。筒井康隆さんの文章は色々迫るものがありました。人は選ぶかもしれませんが、面白いアンソロジーでした2023/06/15

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