内容説明
英語学で扱われる諸分野の基本的な109の項目を映画・海外ドラマのセリフで学ぶ。見開きページでコンパクト、知りたい知識にアクセスできる一冊で、初学者・教員・映画ファンへ贈る。前身は『映画で学ぶ英語学』(2011年)。
目次
1章 英文法と語法
1. ことばの選択制限について-多くの学習者が使えていない辞書の実践情報-
2. 動詞developの意外な使い方-良いものも悪いものも何でも「目立たせる」-
3. 固有名詞に冠詞が付く原理-冠詞のロジックは普通名詞でも固有名詞でも同じ-
4. 代名詞のone-1つではないoneの用法-
5. 節の代用を担うso/not-節を指す代名詞的役割-
6. be different {from/than/to} Xの再考-注視が必要な米変種のbe different than X-
7. no+比較級+than-反義的な比較対象を要求する慣用表現-
8. 様態副詞-「どんな風に」は-ly副詞を使って表現-
9. 文副詞-話題に対する個人的見解を-ly副詞を使って表現-
10. フラット副詞-形を変えずに副詞になれる形容詞たち-
11. 分離不定詞-不定詞の仲を裂く副詞の存在-
12. have toとmust-客観性を表すhave toと主観性を表すmust-
13. ought to-話し手の焦燥感を表す助動詞-
14. BE X TO(1): be to-変数Xがゼロの構文-
15. BE X TO(2): be going toとbe about to-変数Xが決める2つの未来表現の意味-
16. BE X TO(3):be supposed toとbe bound to-変数Xが決める2つの義務表現の意味-
17. 現在形で表す未来-確定的未来を表す方法-
18. 現在進行形で表す未来-すでに下準備に入っていることを表す-
19. 未来進行形-主語や話し手の意図から切り離された未来の動作・状態-
20. speaking of Xの談話機能-荒業もできる話題転換と展開の仕掛け-
Linguistic Clapperboard:大きな数値の誤差を後付けで示す表現
2章 音声学
1. 標準米語と標準英語-発音の違い-
2. オーストラリア英語の特徴-米発音との違い-
3. リエゾン:音の連結-わけのわからない音の塊の正体-
4. 同化:隣接した2音で第3の音を作る-yと同化したひとかたまりの音-
5. 弾音化したt-音色を変えて,もはや別の音-
6. 弱形-母音の音色まで変えてしまう現象-
7. 語尾の発音されない閉鎖音-くせもの /t/-
8. 助動詞doの強調用法-否定的な想定を覆すdo-
9. 強意再帰代名詞-いなくてもいいけど,いるとその存在は大きい「名脇役」-
10. 対照強勢-いつもとは違う音調が対照を知らせる-
11. 問い返し疑問文-オウム返しで確認や意外感を表す-
12. 擬音語-英語は動詞で音を表す-
Linguistic Clapperboard:-neseや-teenの強勢は?
3章 形態論と音韻論
1. 第1類接辞-基体の音韻情報に影響を与える接辞-
2. 接尾辞とアクセント-接尾辞で決まるアクセントの位置(1)-
3. 自ら強勢を担う接尾辞-接尾辞で決まるアクセントの位置(2)-
4. 動詞に付く接頭辞-動詞の用法を変化させる要素:out-, re-を中心に-
5. 複合語-2つの単語が合体してできた語-
6. 混成語-2つの単語をツギハギしてできた語の形成法-
7. 頭字語-頭文字を並べて作った2種類の略語-
8. 押韻反復-類似の響きを持つ語を重ねることば遊び的な強調の方法-
9. 語彙反復-同一語句を繰り返して「典型的な…」を意味する口語の対比強調表現-
10. 受動態の響きのある名詞-意味も発音も一風変わった仏語系の名詞-
11. ゼロ派生の転換による動詞-動詞へと変貌を遂げる名詞と形容詞-
12. 逆成による名詞由来動詞-本来とは逆の「名詞⇒動詞」の語形成-
13. X+過去分詞形式の複合形容詞-受動文の諸要素を変数Xに代入する複合形容詞-
Linguistic Clapperboard:childやfootの複数形が不規則変化するようになった経緯
4章 統語論
1. 分裂文-いわゆるit … thatの強調構文-
2. 擬似分裂文-強調したい表現が文末に現れる文-
3. 様々な文型の受動文-be動詞+過去分詞形+by句以外の形の受け身-
4. 句動詞からの受動文-前置詞句や副詞句の目的語を主語にした受け身-
5. 中間構文-受動態の意味を表す能動態-
6. tough(難易)構文-主語に現れる目的語 (1)-
7. 遡及的動名詞構文-主語に現れる目的語 (2)-
8. 話題化-情報の流れをスムーズにする文法操作-
9. 転位-名詞(句)の移動と代名詞の挿入を組み合わせた文法操作-
10. 重名詞句転移-重い名詞句を後回しにする文法操作-
11. 名詞句からの外置-名詞句を2分割する文法操作-
12. 動詞句前置-原形動詞句を話題化移動した構文-
13. though移動-先行文脈を引き,前置し,自己主張につなげる譲歩-
14. 主語補語倒置-単なる文語表現ではなく,特殊効果のために反転させる文法操作-
15. 場所句倒置-文末主語に光をあてる構文-
16. 否定倒置構文-文頭に現れる否定辞-
17. 間接疑問文削除-削除される推測可能な節-
18. 多重wh疑問文-複数の疑問詞を含む疑問文-
19. 随伴と前置詞残留-wh-句に前置詞が伴う時・残る時?
20. 前置詞+関係代名詞+to 不定詞-to不定詞が現れる関係節-
21. 数量詞遊離-離れた場所から名詞句を狙うallやboth-
22. 否定極性のlong-程度表現を伴えば否定・疑問環境だけの制限はなくなる-
Linguistic Clapperboard:意味をとる範囲によって文意が変わる表現
5章 意味論と構文文法論
1. Go+ -ing-体の動きが大切な表現-
2. 変化を表すGoとCome-「ある状態」から「別の状態」に「なる」を表す移動動詞-
3. 軽動詞構文-補助役のhaveとtake-
4. 2種類の心理動詞-「恐れている」? それとも「恐れさせられている」?-
5. 非能格動詞と非対格動詞-自動詞にも種類がある-
6. 目的語とto不定詞をとる動詞-「人に…してほしいと思う」系か「人に…すると約束する」系か-
7. there構文-存在と出現を表す用法:be動詞以外の動詞
8. 動能構文-行為が目的語に影響を及ぼすことに水を差すatやon-
9. 二重目的語構文-伝達・譲渡が確実に行われたことを示すSVOO文-
10. 与格構文-伝達・譲渡の方向をtoやforで示すSVOA文-
11. 自動詞移動構文-移動だけではなく様態も主役になる表現-
12. 動詞不変化詞構文-動詞の意味を補足する前置詞や副詞-
13. 他動詞移動構文-移動動詞を使わず人や物の移動を表す文型-
14. 使役構文-make, have, letの使役動詞とget-
15. 使役結果構文-結果の解釈を含意する使役構文-
16. 結果構文-行為と結果を単文で伝える効率的な表現-
17. one’s way構文-多彩な動詞と共に主語が辿る経路に焦点をあてる表現-
18. time-away構文-私的な時間をのんびり過ごす表現-
19. 穴あけ構文-衝撃力のある動詞+a hole/holes+3次元を表す前置詞句-
20. 描写述語-主語や目的語の状態を表す副詞ではない二次述語-
21. 強意句-誇張的な表現を使って程度のはなはだしさを伝える表現-
22. NPN構文-同じ名詞を繰り返した表現-
23. 度量句-物事を測る尺度に焦点をあてる副詞的名詞句-
24. 場所の目的語-偉業や困難性を含意する自動詞表現-
25. 場所格交替-前置詞句や目的語に現れる場所表現と意味の違い-
26. 焦点化詞修飾-離れた場所にあるものでも修飾するonlyやeven-
27. 身体部位所有者上昇構文-叩いたり蹴ったりするターゲットを2段階に分けて述べる表現-
28. 同族目的語構文-同じ意味の動詞と目的語で意味を深める表現-
29. JB-X DM-Y構文-相手の推論を否定しながら自分の主張につなげる表現-
Linguistic Clapperboard:使役動詞の分類-『アメイジング・スパイダーマン2』からの3使役動詞-
6章 言語と文化
1. 三人称単数の人称代名詞they-ジェンダー・ニュートラルな英語の一例-
2. 性差撤廃の一例-ジェンダー・フリーな職業名への移行-
3. フレーム-経験から得られる背景知識の枠組み-
4. メトニミー(換喩)-「大きなカツラ」が「重要人物」を表すのはなぜ?-
5. 死喩:姿・形を「投影」する言語活動-身体部位名詞の英単語活用術-
6. 存在のメタファー-姿・形のないものを存在物として捉える比喩-
7. 構造のメタファー-目標領域に具体的な構造を与える比喩-
8. 方向づけのメタファー-方向性の空間認識を活用する比喩-
9. 導管メタファー-「ことば」という容器に考えや意味を詰めて相手に送る比喩-
10. how come ... ?やwhy V ... ? -話者の感情を込めて理由を尋ねる疑問文-
11. 過去形を使った丁寧表現-時制をずらして一歩距離を置くことで丁寧さを表す-
12. 垣根ことばの機能を持つ条件節-枕詞のように添えられるif節-
13. 発話媒介行為-特定の解釈を伴う慣用表現-
Linguistic Clapperboard:心理的距離を表すthat-馴染みにないものに使える指示代名詞that-
参考文献
執筆者紹介
-
- 電子書籍
- 隣人は鬼畜上司~溺愛マンション暮らし~…