内容説明
急激な変化を続ける情報環境に対応し、これからの時代を生き残るために図書館員には何が求められるのか。
「これからの図書館の役割」「そのために必要な知識とスキル」をテーマに毎年開催しているワークショップ「図書館員の未来準備」。その講座内容をもとに、それぞれの分野で新たな地平を切り開いている執筆陣がそろい、「図書館のDX(デジタルトランスフォーメーション)」「新たな図書館情報サービスの展開」「地域への貢献」の3つを柱に、未来を担う図書館員が身に付けておくべき知識やスキルを伝える。
Web-APIの技術を取り入れたウェブサービス、国内外の図書館でのAIなどの活用事例、図書館蔵書からウェブ上のあらゆる情報源への視座の転換、国内でも広がりを見せているメーカースペースやファブラボといった第三の学びの場の試み、2022年の法改正で一躍話題になった図書館と著作権法をめぐる問題、まちづくりと図書館の関係、地域や学校との連携などの10のトピックを取り上げ、日々の業務に役立てるための学びの指針を示す。
付録として、2023年にアメリカ図書館協会が「図書館員が職務を遂行するために必要不可欠な知識・スキル」として発表した「ALAコア・コンピテンス」の翻訳を所収。
目次
まえがき 永田治樹
序 章 図書館員に今後求められる知識とスキル 永田治樹
1 図書館で働く
2 図書館職員の位置づけ――日米の現状
3 図書館員に求められるコンピテンス
第1部 図書館のDX
第1章 ウェブ技術の深化とサービスの可能性 川嶋 斉/牧野雄二
1 ウェブ技術の深化と図書館ウェブサービス 牧野雄二
2 図書館ウェブサービス拡充の三種の事例 牧野雄二
3 千葉県野田市立図書館の事例 川嶋 斉
4 ウェブの仕組みの理解 川嶋 斉
第2章 デジタルメディア・アーカイブ 牧野雄二
1 デジタル資料にはどのようなものがあるか――コンテンツ、メディア、ファイルフォーマット
2 デジタルアーカイブ活動の意義――デジタルアーカイブからデジタルプリザベーションへ
3 「デジタルアーカイブのための長期保存ガイドライン」で示された観点と全国の取り組み実態
4 筆者が注目するデジタルプリザベーションの事例
第3章 先駆的技術の図書館サービスへの組み込み 中野良一/牧野雄二
1 人工知能研究の歴史 中野良一
2 人工知能、機械学習、深層学習の関係 中野良一
3 機械学習について 中野良一
4 ディープラーニングとは 中野良一
5 ChatGPTの可能性 中野良一
6 図書館でのAIなどの先駆的技術活用の事例 牧野雄二
第4章 図書館員の視座と文献到達可能性 宇陀則彦
1 文献世界の発達
2 図書館員の視座と図書館システム
3 未来の図書館システム
第2部 新たな図書館・情報サービスの展開
第5章 図書館×メーカースペース――これまでとこれからに向けて 渡辺ゆうか
1 進化する図書館
2 二十一世紀型スキルと図書館
3 学びのエコシステムをつくるために
4 ファブラボ鎌倉の実践事例から考えてみよう
5 「第三の学び場」としての図書館
第6章 デジタルネットワーク時代の著作権法――未来の図書館員の意識改革のために 村井麻衣子
1 背景――著作権法の課題
2 図書館と著作権法第三十一条
3 著作権法とどのように向き合うか
4 公衆送信サービスの将来像
第7章 情報リテラシー支援の取り組み――事例を中心に 磯部ゆき江
1 図書館とポスト真実
2 コロナ禍の情報リテラシー
3 公共図書館の情報リテラシー
第3部 地域への貢献
第8章 まちづくりと図書館 大串夏身
1 戦後のまちづくりの始まり
2 住民と地方自治体のまちづくりへの取り組み
3 図書館がまちづくりに取り組むにあたっての考え方
4 図書館がまちづくりに取り組むための準備
5 まちづくりに貢献するサービス・事業を創造する
6 図書館がまちづくりに取り組む効果、地域へのインパクト
付:まちづくりへの取り組みに向けた研修(演習)の試み
第9章 学校との連携・協働 中山美由紀
1 平成からの教育の変遷――知識詰め込み型から子ども主体へ
2 公共図書館と学校図書館の連携――「してあげる」から「子ども主体」へ
3 GIGAスクール構想の対応――一人一台タブレットの時代を迎えて
第10章 町と人に寄り添う図書館 手塚美希
ほか
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