いまだ人生を語らず

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いまだ人生を語らず

  • 著者名:四方田犬彦【著】
  • 価格 ¥2,772(本体¥2,520)
  • 白水社(2023/10発売)
  • ポイント 25pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784560093566

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内容説明

老いていくことのゆるやかな心構え

1953年生まれの著者は今年、70歳になった。
「これまでは老人見習いのような感じであったが、これからは本格的に『高齢者』の域に突入する。(中略)そこで現在自分が人生観、世界観(というとあまりに厳粛な感じがするので、そういいたくはないが、要するに毎日の普通の心構え)を整理して纏めておきたい。」(巻頭「老年にはなったけど…」より)
「忘却」「記憶」「読むこと」「書くこと」「勉強」「音楽」「詩作」「犬」「幸福と若干の後悔」「スープと復讐」「もう一度行きたい、外国の街角」「秘密」「病」「信仰」「死」など、「老年」に身近な多彩なテーマを、そっと自らに問うている。
「この本はとてもリラックスして書いた。(中略)『人、中年に到る』と同じように、手元に何も資料など置かず、思いつくままに、好き勝手に筆を進めたわけで、書いているのが愉しかった。」(巻末「対話風の後書き」より)
エッセイ集『人、中年に到る』刊行から13年、「歳を取ろうとしているわたしは、はたして聡明になったのだろうか、幸福になったのだろうか」。映画、文学、漫画、演劇、料理など各分野を網羅する著述家による、書下ろし作品。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

124
2023年70歳となった現在地を確かめるエッセイ。13年前に57歳の時オスロで「人、中年に到る」を書いた。その続編にあたる。憧れの老人、吉田健一は生きていて一番いい時期は老年であると書いた。そのヨシケンは65歳で逝去した。モンターニュはエセーを47歳で書き、59歳で亡くなった。70歳となり、92歳になる母親と話すとまだ老年とは感じられない。若い頃ソウルにて過ごし、ずっと映画を中心とした比較文化論を書いてきた。50歳を過ぎてイスラエル・パレスチナや旧ユーゴで鮮烈な体験をしてきた。味わいのある文章の数々。2023/08/04

kaoru

75
映画・詩・文学・漫画に関する多くの著書がある多才な四方田氏も70歳になられた。13年前に大学を退職し「独りで荒地を彷徨う道を選んだ」後の人生を語るエッセイ集。「ユーミンの音楽を一度も聴かず河瀬直美の映画も10年以上見たことがない」。イタリアの巨匠・パゾリーニ監督に関する記述には蒙を啓かれた。ソウルや台湾の滞在記、愛する飼い犬達の思い出、自らの病、パンデミック、信仰について。「伝道の書」の『コヘレトの言葉』を初めて読んで以来、40年の時間を経てようやく味わえるようになったこと。「つねに信仰と懐疑の両極を→2024/03/09

hasegawa noboru

20
<柄谷行人や大川隆法などといった現代思想の人々の書いたものを、もう三十年も以上読んだことがない><わたしはユーミンの音楽を一度も聴いたことがないし、河瀨直美のフィルムも十年以上も観たことがない><内田吐夢や伊藤大輔のような監督と付き合ってみると、小津のいわゆる諦念が苛立たしくなってきたのは事実だ。それが現代という時代に迎合しているように見えることも腹立たしい><今という時代は、つい昨日まで元気だった人が死んだと突然知らされ>る時代で<自分だって、いつ死んでしまっても不思議はないという気持ちで生きている>。2023/10/13

tetsubun1000mg

9
初読みの作家さんでタイトルと表紙のセンスが気に入って選ぶ。 東大で宗教学を専攻して、明治学院大で映画史を中心に講義をもった教授という略歴の方で、映画を中心に大変多くの著作を残されている。 57歳の頃に書いた「人、中年に到る」の13年後のエッセイだそうだ。 タイトル通り隠居して過去に浸ってしまう考えにはならないらしい。 70歳とはいえこの長編エッセイを書けるのだから、まだ蟄居生活は望まれていないようだ。 いろんな国の重い絵や宗教など幅広い知識を持っておられ頭脳明晰な様子なのでまだまだ執筆されるのだろう。2023/08/10

dokusyozuki

3
読みやすい文体でするすると読めたが、内容はいまいち頭に入ってこなかったかな。高尚すぎる。世に言う、知識人、文化人と呼ばれる人が、何を考えているのかが垣間見れたのが今回の収穫といえるのかも。これまでの著者の人生を十分語っているように思えるが、それでも、なお、いまだ人生を語らずと言い切るところに凄味と貪欲さを感じた。いったい何歳まで生きれば満足できるのだろう。2024/02/19

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