組織衰退のメカニズム - 歴史活用がもたらす罠

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組織衰退のメカニズム - 歴史活用がもたらす罠

  • 著者名:松尾健治
  • 価格 ¥5,999(本体¥5,454)
  • 白桃書房(2023/10発売)
  • ポイント 54pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784561267638

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内容説明

【2022年度日本経営学会賞(著書部門)本賞受賞】

戦前に大きな成功をおさめた鐘紡。戦後は衰退して最後には破綻した。本書は、膨大な社内資料や当事者の証言から、戦後の過程(プロセス)に解像度高く迫り、組織衰退のメカニズムを探求していく。そこで見えてきたのは、当事者の必死さ、誤算、恐れ、弱さ、罠に陥っていく様や、一人一人の思惑とそれらの掛け違いであった。

成功した経験をもつ組織がなぜ衰退してしまうのか、と問えば、多い答えは、成功から学習したことの慣性が、環境変化への適応を妨げるから、というものだろう。とはいえ、人は失敗から学習することもできるはずだ。環境変化に際して大きく失敗すれば、失敗から学習して新たなやり方を取り入れることもできる。だが、それがうまくいくとは限らない。つまりこの問いは、容易には答えられないし、かといって気にせずに済ますこともできない古くから人間社会にある問いであり、持続的成長が求められる今日の企業にとっても向き合うべき問いとして残されている。

成功あるいは失敗から学習するということは、組織の過去についての解釈(歴史)を当事者が活用する営みである。組織の当事者が自分たちの歴史をどのように活用してしまうことが衰退につながるのか。本書が解き明かすのは、等身大の企業人たちが歴史の活用に失敗し、それによってもたらされる組織衰退のメカニズムである。

目次

序章 問題意識
第1章 既存の理論研究
第2章 研究の方法
第3章 事例企業:鐘紡の略史
第4章 衰退事象
第5章 戦後の事業展開1:経営者と既存事業の強化
第6章 戦後の事業展開2:新規事業への進出とその失敗“合成繊維”
第7章 戦後の事業展開3:新規事業への進出とその失敗“非繊維事業”
第8章 業績目標
第9章 組織内の関係性
終章 考察と含意:衰退のメカニズム
補論:レトリカル・ヒストリー研究

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

HideTanaka

7
経営学ではよく「組織は成功の罠に嵌って失敗することがある」ことを学びます。しかし、現実の失敗の多くは、本当に成功の罠が理由なのでしょうか?むしろ、失敗からも学ぼうとしたのに、結局失敗しているのかもしれません。本書は、鐘紡の事例から、こうした組織衰退のメカニズムに一石を投じます。固い学術書ですが、最初に仮説モデルは提示されず、後から吟味が進みます。このため、まるでミステリーを読んでいるかのような読感もあります。全てを読み終わると、タイトルと序章の意味がカタルシスをもって理解できます。超力作だと思います。2025/08/31

らる

6
鐘紡を対象に、成功した組織の衰退について研究した本/進化と探索のどちらかに組織の資源配分が傾いてしまうことは、組織の持続を危うくする/組織衰退がはじまると、失敗している事業が継続されてしまう。なぜなら日本企業は解雇が難しく、事業を辞めるなら転属先を用意する必要があるが、組織衰退しているとその先が無いため/探索に高い水準を早期達成することを求めると失敗する/支配的CEOが強圧的にパワーを行使すると、非決定のプロセス=忖度が発生し、組織活動に負の影響を及ぼす2024/01/06

辻井凌|つじー

2
なぜ失敗から学んでも、必死に現状を改善しても失敗してしまうのか。優秀な仕事人間と、意見を吸い上げ決断することに長けたリーダーはまったく別だ。無能だから失敗するのではない。思わぬ切り口が興味深い。鐘紡破綻の謎解きケーススタディ。2024/12/31

Irving

1
研究課題の設定、事例の位置付け方、緻密さ、メッセージの深み、いずれも素晴らしい。調査が難しいであろう、衰退事例を詳細に解明した執念を感じる迫力の一冊である。2022/11/20

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