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内容説明
谷崎潤一郎は戦争を賛美せず、ひたすら男女の愛を描いた――第3次世界大戦を予感する今、彼らの心構えに倣う 【文学者は、いかに「日本の戦争」と向き合ったのか】 昭和初期、日本が戦時体制に入ると、徳富蘇峰のように戦争を礼賛する作家たちが大量に出現した。その一方で、反戦を唱える者は厳しく弾圧された。谷崎潤一郎も『細雪』の雑誌連載を「戦時下に不適切な内容である」と、軍部に掲載を止められた(昭和18年)。それでもこの弾圧に抵抗することなく、黙々と書き続け、戦後、大ベストセラーになったのだ。著者が谷崎をはじめとする「戦争を賛美せず、抗議もせず、嫌がって関わらなかった作家たち」に今、着目するのは、世界が第3次世界大戦に向かう空気に覆われているからだ。戦争に背を向けた文学者たちの態度に、私たちは何を学ぶべきか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MICKE
11
文学はエロスなり、戦争を賛美せず、只管エロスに耽美し、果ては狂い死にすなり。2023/10/03
みや
8
現地踏査及び当時の記録を踏まえ、戦前・戦中の大作家たちの戦争に対する態度を明らかにするルポ。戦争を対手にせず、人間の本質に迫る創作活動を継続した谷崎などへの礼賛は至極真っ当な評価。一方、現代まで連綿と続いているとされるタヴィストックに関する洗脳の記述は、俄に信じられない。せっかく事実を示そうとしているのに、いちいち周囲の無理解を指摘するのも蛇足で不快。著者の品位と評価を低下させるのみで誰得の感あり。2024/10/29
石光 真
4
下世話な面白さは小室直樹譲りだ。文学者のエロを掘り下げた。文学者は元気だった。そして1970年には滅んだ。2024/02/29