中公新書<br> ケマル・アタテュルク オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父

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中公新書
ケマル・アタテュルク オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父

  • 著者名:小笠原弘幸【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 中央公論新社(2023/10発売)
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  • ISBN:9784121027740

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内容説明

トルコ建国の父、ムスタファ・ケマル(1881~1938)。オスマン帝国が西欧列強からの脅威にさらされるなか救国の英雄として活躍し、帝国崩壊後はトルコ共和国を建国し大統領に就任する。民族主義と世俗主義を掲げて新国家の建設を進めたケマルは、議会からアタテュルク(父なるトルコ人)という姓を与えられた。今なお国民から敬愛される彼の実像を、愛する家族や、戦いを共にした同志との人間模様を交えて活写する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

128
昔読んだアタテュルク伝では、対ギリシア戦勝利からトルコ共和国建国まで彼ひとりで成し遂げたかのように書かれており、政治軍事両面にわたる偉大な指導者として称賛するばかりだった。本書は失敗もすれば行き過ぎもあった等身大の人間アタテュルクを描写しており、特に政治家としては味方ばかりではない新政府内部での激しい権力闘争や、オスマン帝国打倒の正当性を主張するため暴走もあった実像を隠していない。歴代政府が国父を神格化してきた過去を批判するエルドアン大統領により、これまで秘匿されてきた歴史的史料が解禁されつつある結果か。2023/12/29

skunk_c

80
日本語によるケマルの評伝は新書では初めてかもしれない。時代の流れの中で彼とその仲間や対立者との関係を中心としながら、その事蹟を丹念に書いている。政治家としてかなり強引な手法をとる面もあったが、非常に視野が広く洞察力のある人物で、若い頃からヨーロッパの文化に親しんでいたのが脱イスラームな世俗主義に繋がっていったように思えた。ただ新書という限界もあり、オスマン帝国末期にトルコ民族主義がどのように形成されたかについてはあまり触れられていない。巻末の年表と主要人物小伝がとてもありがたい。トルコを知る必読書と思う。2023/11/12

よっち

36
トルコ建国の父ムスタファ・ケマル。今なお国民から敬愛される彼の実像を、愛する家族や戦いを共にした同志との人間模様を踏まえて描いた一冊。西欧列強からの脅威にさらされていたオスマン帝国の軍人としてキャリアをスタートさせて、ギリシアとの戦いで救国の英雄となったケマル。当時のトルコを巡る情勢や、民族主義と世俗主義を掲げ新国家の建設を進めてゆく様子が丁寧に描かれていて、その道程は思っていた以上に波乱万丈で、強権的で独裁的な一面も垣間見せた彼の功績は、関わった多くの同志たちに支えられたものだったのだなと実感しました。2023/11/27

kk

33
図書館本。近年まで一切の批判が封殺されてきたケマル・アタチュルクですが、最近では彼の生涯と治績についても実証的な研究が蓄積されつつある由。本書は、そうした成果も取り込みつつ、単なる英雄譚でないアタチュルク伝を世に問う試みです。一般読者を念頭に、アタチュルクの光た影の双方が、バランス良く平易・丁寧に語られています。従来の類書より辛口とは言いながら、ドラマに満ちた彼の生涯と強烈な個性にはやはり魅了されざるを得ないものを感じます。それにしても、こんな輩が身近にいたらkk はすぐノイローゼになってしまいそうです。2023/11/23

鐵太郎

27
ケマル・アタテュルクの伝記は二冊目か。前のは大島直政氏著だったけれど、40年近く時代を経て書かれたこちらの方があちこちの描写が光ってますね。これは、中世どころか古代の遺物とも言うべきトルコ帝国が第一次世界大戦後に崩壊したのち、列強各国に侵食されていったトルコという国を、その豪腕で近代国家に叩き直し、トルコ共和国において国父、神と讃えられた人、ケマル・アタテュルクの物語。毀誉褒貶などというケチなレベルを超えた英雄・独裁者だった男とは何者だったのか。2024/02/18

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