八重歯が見たい

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八重歯が見たい

  • ISBN:9784750518183

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内容説明

「私は彼を9回も殺した。いつも違うやり方で!」

〈チョン・セラン〉ワールド全開!
笑いに満ちあふれながらも、ちょっぴり背中が凍りつくロマンチック・スリラー。

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かつての恋人たちを夢中にさせた八重歯の持ち主「ジェファ」。
エンタメ作家の彼女は、執筆中の短編集の中で元カレのヨンギを殺した。しかも9回も。

すると作品を発表するたびに、ヨンギの体にはジェファの文章がタトゥーのように浮き出るという不思議な現象が!
そんな時、ジェファの背後にストーカーの影が忍び寄り……。

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宝石のようだった八重歯。ときどき、あの八重歯が恋しくなった。ジェファが恋しくなったわけではない。ただあの八重歯だけが……。

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【目次】
■ジェファ……時空の龍と十五人の恋人たち
■ヨンギ………バニラとピスタチオ
■ジェファ……オオカミの森に腕を忘れてきた
■ヨンギ………八重歯だけがリアルだった
■ジェファ……ハッピー・マリリン
■ヨンギ………ガス銃を触ってみてもいいですか
■ジェファ……ラブ・オブ・ツンドラ
■ヨンギ………ファッキュー・ファッキュー・ファッキュー
■ジェファ……鶏もみじは窓辺にて
■ヨンギ………巨大なさつまいもの夢を見た
■ジェファ……魚王子の伝説
■ヨンギ………五発入りのロシアン・ルーレットのように
■ジェファ……航海士、船長になる
■ヨンギ………地球が記憶するラブストーリー
■ジェファ……私と勝負してみる?
■ヨンギ………誰も死なない話を書いたら?
■ジェファ……最後のキスを更新すべきだった
■ヨンギ………切断面がきれいじゃないとくっつけられないんだよ
■ジェファ……三分二十六秒前だった
■ヨンギ………勇気ある者がジェファを得る

■あとがき
■訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケンイチミズバ

79
どんな理不尽も成されるがまま。韓国には24時間のATMがあるらしい。便利なサービスに比例し深夜の呼び出しも増える。日本で言うセコムの人のような職業の彼。遅い夕食を前に呼び出しが。酔った「お客様」が操作を誤りカードが取り込まれて出て来ない。躯体を蹴る、暴れる。暴力を振るわれながらお客様をなだめる。お客様からのあらゆる理不尽でストレスをため込み我慢しながら働く人たちがいる。SNSで発散する暴言をリアルでも発揮する人が増えた。些細なことで見ず知らずの人に挑みかかる人が増えた。私は今のそういうところが本当に嫌い。2023/12/19

J D

68
 うふふでした。これ心が柔らかなって幸せな作品でした。いつも、参考にさせて頂いている読み友さんが、読みたい本に挙げられていたので、読んだんだけど、やっぱり当たりだった。ジェファのヨンギに対する愛が深い。その逆も。文章の言い回しもウィットに富んでいるのもあり、他の作品も読みたくなりました。ラブストーリーだね!ラブジェネ(死語)だねぇ~!とおじさんはニヤニヤと読み終わったのだった!2024/07/07

ケイティ

26
K-BOOKフェスの翻訳家座談会で、実は一作目だったと知った本作。作家のジェファは、自作の短編集で元カレのヨンギを殺し続け、そのたびにヨンギの体にジェファの文章が浮き出てくる。この設定だけでもう楽しそうとふわふわ読み進めていたけど、後半の展開と訳者あとがきでぐっと深みが増した。​読み終わるとこのタイトルが違って見える、というのも納得。​著者あとがきの「切実な気持ちで、冗談になりたい​」「軽さを恐れなかった時にこそ得ることができる重さを推し量りながら,へこたれずに書き続けていきます​」の言葉に胸が詰まった。2024/12/07

星落秋風五丈原

21
微妙な紹介のされ方をしたヨンギは、エンタメ作家ジェファの元カレで、警備会社で働いている。今カノはいる。しかしなぜか彼の体には文章の一部がタトゥーのように浮き出る。病院にかかっても、誰も有効な答えをくれない。彼女も気味悪がるようになる。さて件の文章の書き手はジェファだ。その事は冒頭から読者に明かされている。熱愛されているわけでもないのに、書いた文章が体に浮かぶなんて、災難この上ない。しかし本作、単なるコメディで終わらない。八重歯はジェファのチャームポイントだが、タイトルの言葉を言うのは、とんでもない奴。 2024/01/04

スイ

18
どういう気持ちで読めばいいんだろう…?とずっと足元がふわふわした気分だった。 作品の中で、何度も何度も元カレを殺す小説家。 元カノの小説の一文が体に浮き上がって来るようになった元カレ。 とても奇妙なのだけど、淡々とした現実感もある。 終盤は急にスリラーになり、驚いたものの違和感はないというのが、この作品の懐の広さ、だろうか。 チョン・セランさんのあとがきも面白い。 ラストを以前と変えたという話も書いてあったが、断然改稿後がいい!2023/11/22

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