内容説明
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イラストレーター・安西水丸さんが東京都内12エリアを歩き、残した足あとが一冊の本になりました。多様な街のたたずまい、通りかかる名所旧跡や思い出の地が、豊富なイラスト・俳句とともに綴られています。新緑の中「深川めし」を食べる。幼い頃に雨宿りした迎賓館赤坂離宮を通りかかる。勝鬨(かちどき)橋から眺めた夜景の向こうにマンハッタンを見る。止まることを知らず変わりゆく東京において、水丸さんが歩く道は、どこかこうした潮流から解放されている道ばかり。生まれ育った東京を、最晩年の水丸さんはどう捉えたのか。軽やかなまなざしが光ります。
*月刊『なごみ』内連載「メトロに乗って、東京俳句ing」(2013年1月号~12月号)をまとめたものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
19
安西水丸さんが2013年にかけて、雑誌で連載していた「メトロに乗って東京俳句ing 」の書籍化です。1年をかけて東京の12の町を巡りながら、場所にまつわる個人的な思い出、お勧めの名所旧跡などを、イラストと俳句により案内します。『目を閉じて、古書街さまよう夜長かな』『大門でゴジラの声聞く残暑かな』安西水丸さんの俳号「水夢」は海を好きだった著者がswimから取ったそうです。2023/06/16
ツバメマン★こち亀読破中
16
安西水丸さんの東京散歩。もちろんイラストも。神保町以外は、仕事でもあまりブラブラしなくなったなぁ。これから散歩にはいい季節です。安西水丸気分で赤坂とか青山と散歩してみようかな?2023/10/01
みどり
10
前の読書体験が体力のいるものだったので安西水丸さんに緩めていただいた。昔から聡明だったことがうかがえるエピソードなども読めた。この方の文章のリズムと、筆跡と絵が好きだなと思う。大学生のときに行った、安西水丸展も良かった。小さめの明るい美術館でやっていた展示は絵柄と良く合っていてインドアの私にとってはものすごくいい外での体験だった。俳句は、縛りの中で生まれる表現や美しさがあると思う。好きだな。2025/10/05
はな
8
東京へ行ったら訪れたいスポットがたくさん増えました。進化し続ける東京の街で変わらない魅力を発掘している水丸さん。イラストも文章もほっこりします。2024/08/22
飼い猫の名はサチコ
6
著者が亡くなる前年の2013年、都内各所を散策してエッセイ、俳句、イラストにまとめた連載企画が10年後に書籍化されたもの。粋な東京人のフィルターを通して眺めると、東京の見え方が随分変わってみえる。川と橋の描写が多く、水の都として浮かび上がる。著者の菩提寺である谷中の多宝院には、立原道造のお墓があるということを本書で知り、子供のころ、母から薦められて読んだ詩集を思い出す。著者の思い出のなかの東京と2013年当時の東京と行き来しつつ、東京ハイキングに同行した気分になる味わい深い1冊。2024/05/22