内容説明
19世紀末ロシア、独立直後のジャマイカ、サイバー空間――様々な時と場所に現れた、「宇宙」をめぐる思想。分子となって銀河に散らばる全祖先の復活を唱える者、自らのルーツを土星に見出し異形の音楽を創り出す者……。果てなき頭上の漆黒に、人は何を見るのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
塩崎ツトム
35
なんだかありとあらゆる夢や空想が、「半額」とか「パニクれ」とか「おすすめRPG」とかシール貼りされたイデオロギー、をまとった商業的アオリに回収されて、ひとはそれをユートピアと呼ぶようになったとでも言うのだろうか。火星やサイバースペースといった前線も商業化し、ロシアの夢は古風な植民地主義的侵略にすぎないわけで、アフリカ系アメリカ人は新たな故郷を未来に創造しようとする。郷愁すらもショッピングモールの喧騒に飲み込まれる。もはや胎内回帰しかないんじゃなかろうか。2023/10/27
タカナとダイアローグ
17
初めて触れた加速主義。同年代の思想家が縦横無尽に技術しており、とにかく圧倒された。ロシアが目指したポストヒューマンとか、サンラーが宇宙志向とか、知らなかったことが多すぎて新鮮。宇宙にフロンティア。初めて概念が多く、読み進めるのに苦労した故に私にとって良書だった。フロンティアとしてのメタバース、テクノリバタリアンがヒッピー的な土壌からでてきているっていうのは、知れてよかった。トランプ再選で加速主義は注目されるとおもう。つぎはマークフィッシャーを読む。2024/11/26
しずかな午後
16
本書のキーワードはスペース(宇宙/空間)、ここではないどこかを目指した思想の系譜をたどる。第一章は「ロシア宇宙主義」、なかでもフョードロフが印象的だ。敬虔なロシア正教徒であり、一年中古ぼけたコートを着て給与はすべて貧しい人々に与えた。そんな市井の隠者のような人柄に反し、その思想はあまりに過激。いわく、神から与えられた使命である〈全人類の不死〉=「この世に存在した全ての人間の復活」を我らは達成しなくてはならない。そのために宇宙空間に飛散した原初の人間・アダムを含む祖先たちの遺骸の粒子を回収せよ…。2024/06/03
gorgeanalogue
12
語り口は新しい感じがするし、とても面白かったが、デジタルパチンコのように流れてくる「新しい」はずのさまざまなビジョンの一つ一つはよく見ると「古い」どこかで見たような相貌をしている…。という意味で結論は凡庸にも思える。「脱出」は永遠の夢に終わるしかないし、人間は周りに落ちているガラクタを集めて世界と相対するしかない。個人的にはアフロフューチャリズムの項をもっとじっくり展開してほしかった(残響と回帰する幽霊。問題は「ループ」にあると思う)。本文フォーマットの行間をもう少し広くしてほしい。2024/02/10
Tatsuhito Matsuzaki
12
『SFマガジン』に2021年から約2年間にわたって書き継がれてきた連載エッセイをベースに、ロシア宇宙主義、アフロフューチャリズム、サイバースペースとメタバース等々、論題は拡散しつつ纏りなく論じ、そして終わる。 通史的なものではなく、個別論点が本題に帰結するような調和的新書ではありません。 気になるワードや、好きな人物の名前を見つけて拾い読みさせて頂きました。 #ユートピア #不死 #復活 #宇宙 #魔術 #SNS #MR #メタバース #今日の一冊2023/12/03
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