内容説明
マザー・グースの成立には,フランス革命や中流階級の台頭など,18,19世紀の社会事情が色濃く反映している.著者は,従来の文学研究の域を超えて社会学の方法を導入し,迷信的な世界観と近代的道徳観との相克を背景とする民衆文芸の形成過程を,膨大な一次資料から解き明かした.イギリス文学の新しい読みを提示する画期的な書.
目次
序論
はじめに
イギリスにおけるマザー・グースの登場
伝承童謡と歴史
四つの「革命」の時代
「民衆」の「文芸」
第一章 マザー・グースとマザー・スクワイアーズ
――パントマイムと「ジプシー」老女迫害
オーピー夫妻の「登録商標」
空飛ぶマザー・グースの誕生
アウトサイダーとしてのマザー・グース
魔女としてのマザー・グース
パントマイムから伝承童謡へ
第二章 長靴をはいた猫の鉤爪――妖精物語と動物虐待防止運動
奇妙で滑稽な猫
後ろ足で立つ猫
鉤爪の表象
初期英訳版の諸問題
近代史のなかの擬人化された動物像
動物虐待防止運動と子供の読書
かわいい擬人化された動物像の伝統
第三章 狼よりも凶暴な――妖精物語とフランス革命論争
妖精物語論争
教訓派対ロマン派
妖精物語の残酷性
「狼や虎よりも凶暴である」
『教育守護者』と『反ジャコバン』
児童文学とブルジョア・イデオロギー
第四章 学者動物――大道芸とフランス革命論争
学者動物の出没
学者豚とフランス革命論争
バーソロミュー・フェアの道徳
怪物としての学者動物
マザー・ハバードとその犬
学者動物の衰退
第五章 妻を殴る,子供を投げる――人形芝居と男性感受性改革
『パンチとジュディ』
妻を殴る,子供を投げる
イギリスにおけるパンチの登場
男性感受性改革論の文脈
消費文化と道徳改革
パンチの逮捕と処刑
第六章 コヴェント・ガーデン劇場の大騒動
――ストリート・バラッドと反特許劇場体制
オールド・プライス騒動
騒動の顛末
O.Pソングと伝承童謡
O.Pソングとイギリス国歌
国民文化の殿堂としての王立劇場
観客の政治的抵抗
第七章 砂糖はどのように作られるのか――児童詩と奴隷制廃止運動
奴隷貿易廃止の請願書に署名する子供
オーピー『黒人の嘆き』
「砂糖」と「奴隷」
植民地産砂糖の不買運動
植民地と伝承童謡
読書と社会参加
結論
あとがき
注
参考文献
図版出典
人名索引
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