月のうらがわ

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月のうらがわ

  • 著者名:麻宮好
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 祥伝社(2023/10発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784396636555

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内容説明

深川の新兵衛長屋に住む十三歳のお綾。三年前に母を亡くしたが、大工の父直次郎、弟正太と慎ましく暮らしていた。
ある日、父の朋輩重蔵の店賃滞納で揉めている中、隣に坂崎清之介という写本を生業とする侍が越してきた。
本好きのお綾は、部屋の片づけを束脩代わりに坂崎に手習いを見てもらうことに。そこで書きかけの本 『つきのうらがわ』を見つける。
子が亡き母の住む月へ辿りつこうとする物語だった。
「続きを考えさせてくれませんか」とお綾は頼みこみ、正太と重蔵の子おはると一緒に考え始める。
次第に子どもたちは優しい坂崎を慕うようになる。だが、坂崎には人を殺して生国を追われたという噂があった――。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

167
市井に生きる弱き者、小さき者のなんと逞しく切なくて、清々しい空気感に包まれた。深川・新兵衛長屋に住む13歳の綾の目線で進む本作は、楽しみにしていた麻宮好さんの書き下ろし。母を亡くし父と幼い弟と暮らす日々は、かしましい長屋の人情溢れて・・隣に越してきた侍・坂崎との関わりから『つきのうらがわ』と言う書きかけの本と出会う。それは亡き母の住む月へ行こうとする物語だった。それぞれの月の裏側を思うと同時に私もまた自分の月の裏側を思う。独りではない。共に生きているのだ。それが私の読後の思い。温かく好い作品と出会った。2023/11/01

ちょろこ

130
溢れんばかりの人情の一冊。母を亡くした13歳の少女を中心にそれぞれが生きる意味を懸命に探していく物語。溢れんばかりの人情が言葉が月明かりのように柔らかく降り注ぐ優しさ温かさがたまらない。大人のくすんだ心、子供の澄んだ心の対比も見せられながら星の数ほどの数えきれない言葉に何度も胸打たれ、子供たちの真っ直ぐな眼差しと強さに胸がつまった。月になぞらえながら心を映し出していくさまも秀逸。自分が辿ってきた弱さの道。大切な人に辿って欲しい強さの道。人はそんな想いと願いの重ね合いで日々地に足をつけていられる、そう思う。2023/11/06

タイ子

115
前作もそうだが、この作家さんは子供が成長しきれないもどかしや相手を思いやる心情を描くのがものすごく上手い。そして、それらの映像が目の前に浮かび上がってくるようで難しく考えなくてもするするとのど越しのいい物語を読んだ感じがする。大人には大人の、子供には子供の世界があるが、悲しむ心はそれに関係なく平等に襲ってくるもの。人生を何年生きてきても喪うものの大切さは同じ。「人が強くなる一番の方法は誰かのために生きることなんじゃないか」作中で父親が娘に掛ける言葉が沁みる。読了後、タイトルの深さ、切なさ、生きる意味に涙。2023/11/22

とん大西

110
いやぁ、ニクいったら、ありゃしない。新年早々、こんなに泣かせるなんて。新兵衛長屋で慎ましく暮らす13歳お綾の純情。生真面目な父直次郎と朗らかな弟正太と平穏な日々を送るも、胸に残る優しかった亡き母への想い。そんなおり、隣部屋に越してきた坂崎。優しい人柄に、お綾だけでなく長屋の子供達も懐きだす。が、心の奥にあるやもしれぬ深い愁い。坂崎が執筆途中の「つきのうらがわ」に切なく共鳴しながらも喜怒哀楽の日々を紡ぐ江戸情緒。あぁ、良い。お綾の可憐さも、正太の純朴も。坂崎の哀しみも直次郎の葛藤も。何もかもが沁みてくるょ。2024/01/01

ゆみねこ

98
子が亡き母の住む月へ向かおうとする物語[つきのうらがわ]。長屋の隣人・坂崎清之介の部屋で書きかけの本を見つけた13歳のお綾は、弟正太と近所の子おはると共に考え始める。3年前に母を亡くしたお綾と正太、両親を喪ったばかりのおはる。坂崎の優しさを慕う子どもたちと坂崎の負った心の傷。大切な人を思う気持ちと子どもたちの思い。心温まる素敵な1冊、期待に違わぬ麻宮さんの2作目。お薦め!2024/02/08

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