ちくま新書<br> 古代日本の宮都を歩く

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ちくま新書
古代日本の宮都を歩く

  • 著者名:村井康彦【著者】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 筑摩書房(2023/10発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075642

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内容説明

よく知られるように平城京・平安京以外にも、古代には数多くの宮都があった。王権の所在地であり国家統治の中枢だった王宮は、やがて「百官の府」と称され、京域に貴族官人や庶民が集住し都市文化が萌芽。それは遷都と造都を繰り返す中でもたらされた。半世紀以上にわたり、古代の宮都を訪ね歩いてきた著者が、過去の景観と現在を比較し、文献史料を再検討することによって、宮都の知られざる事実を掘り起こす。通説にとらわれずに史実を明らかにしてきた碩学による宮都案内。

目次

序章 峠の文明開化/峠に心惹かれて/文明開化の始まりとともに/竹内街道──世界に開かれた大道/第一章 宮都の原郷/1 近親結婚の思惑──皇祖母尊の時代/純血主義の弊害と「吉野の盟約」/ゴッドマザーとしての斉明女帝/愛情深き女帝の最期/2 飛鳥の「田身嶺」/女帝を大規模工事へと駆り立てた「豪気」/「田身嶺」とは何か/国家的饗応・饗宴施設としての嶺/3 真神原の宮処/「入鹿の首塚」が語りかけるもの/国際都市としての飛鳥真神原/第二章 遷都の条件/1 遷都の予兆/遷都に伴うネズミの異常行動/難波への遷都、中大兄皇子による人心操作?/近江への遷都、そして「予兆」という政治手法の終焉/2 難波長柄豊碕宮と難波宮/孝徳天皇による新宮造営/孝徳天皇と中大兄皇子の対立/前期・後期難波宮をめぐって/3 近江大津宮/遷都実現までの対外的な施策/首都防衛ゾーンとしての近江国/消えた大津宮を探し求めて/因縁の対立の果てに/壬申の乱と倭京/第三章 藤原京へ/1 新京の構想/御薪の宴、そして「みやこ」のあり方の変容/天武天皇の遷都への躊躇/最晩年に至っての造都造営への意識の高まり/2 「新益」藤原京/持統天皇に受け継がれた造都事業/道路の造成から始まった「都づくり」/藤原宮と藤原氏の関連性/3 藤原京という時代/飛鳥京と藤原京の非分離性/〝一卵性家族〟の八角墓──飛鳥時代の終焉/第四章 平城京へ/1 百官の府/母・元明女帝に引き継がれた遷都構想/貴族官人の母胎としての「百官の府」/「宮城図」の詳細/「倭京」の到達点としての平城京/2 羅城門はあったか/史料から見えてくる羅城門/歓迎行事の推移とともに/羅城がないのに羅城門?/3 「不改常典」の謎/元明の詔の特異性/歴代天皇即位の詔における「不改常典」/首皇子の出生から生まれた「不改常典」/持統天皇の最晩年における執念の所産として/第五章 流離する宮都/1 平城京・恭仁京/波乱含みの聖武の治世/藤原広嗣の乱を受けて/〝遷都ならぬ遷都〟からの恭仁宮造営/短命であった恭仁宮の全貌/2 紫香楽宮・難波宮/聖武天皇の紫香楽宮行幸と「大仏建立の詔」/四度目の行幸における重大な決断/橘諸兄による難波宮への着目と「皇都」宣言/〝彷徨五年〟の果てに/3 北京(保良宮)・西京(由義宮)/「北京」近江保良宮の成り立ち/藤原仲麻呂による新羅出兵計画/異変、そして廃墟と化す/「西京」河内由義宮の成り立ちと道鏡の野望/宣託事件の経緯/逆効果に終わった法均・清麻呂姉弟の策略/称徳女帝の孤独を癒やした由義宮行幸/第六章 「山背」宮都へ/1 皇統の転換/「倭京」から「大和宮都」、そして新たな宮都へ/皇太子をめぐる変化/光仁天皇の施策と天皇呪詛事件/存在感を増す藤原式家/2 遷都の思想/桓武天皇の即位と氷上川継の乱/事件をめぐる様々な思惑/桓武天皇に芽生えた強い自覚と個性的な施策/詔・勅から垣間見られる天皇の思い/蝦蟇の大群の大移動、そして遷都のスタート/3 遷都と棄都の間/桓武天皇による長岡遷都/遷都以後の動き/長岡造都事業の本格化と種継暗殺事件/種継の死による大きな打撃/桓武天皇に萌した長岡棄都の思い/長岡遷都の歴史的位置づけ/第七章 平安新京/1 京中巡幸/桓武天皇を襲った度重なる不幸と平安遷都構想/熱心な「京中巡幸」といくつかのエピソード/効率的に進められた造都事業/存在感を失う「大和国」と新都の活況/新京誕生を寿ぐ踏歌/2 軍事と造作/桓武天皇による蝦夷対策/征夷大将軍・坂上田村麻呂の深い歎き/田村麻呂・アテルイの伝説化、そして歴史的和解/3 徳政相論/病に伏して/諸負担軽減策の総決算としての「徳政相論」/死を目前にしての早良親王への謝罪/見事なまでの「終活」を遂げて/第八章 王朝文華の源泉/1 平安定都/平城天皇の失意と「二所朝廷」/嵯峨天皇の配慮と薬子の変までの経緯/仲成・薬子兄妹の孤立と平城天皇のその後/2 王朝の宮廷/平安京遷都による変化──葛野川への度重なる行幸/伊勢斎王の禊についての変化──葛野川から賀茂川へ/文化的起爆剤としての平安京遷都/3 清涼殿と後院/平城天皇の早とちり/平安初期の天皇と清涼殿・仁寿殿の関わり/天皇とキサキ──後宮の拡大/過去の教訓から造られた「後院」/第九章 平安京三題/1 鴨川辛橋/平安京の人々と河川/『将門記』に見る外港設営の重要性/平城京への「望郷の念」の象徴として/鴨川辛橋にまつわる人々の物語/2 諸司厨町/飛 匠の活躍──奈良盆地における国名村の存在/舎人たちの問題と宿所/記録に見る諸司厨町/国名村から諸司厨町へ/3 遣唐船始末/文化事業としての遣唐船派遣──最澄と空海/遣唐使派遣後の日唐関係と『竹取物語』/道真による遣唐使派遣中止とその後の誤解/終章 京都が「京都」でなくなる時/1 大内裏の歴史を辿る/究極の「みやこ」としての平安京/大内裏図から見えてくるもの/大内と里内/貴族の存在形態の変化とともに/2 京都御所/内野/存在感を増す武家と閑院内裏/「関東の沙汰」の歴史的意義/3 羅城門の復元に向けて──平安京の過去と未来をつなぐ/梅小路公園の歴史的意味/「八条の泉」をめぐって──忠盛と西行、そして清盛/八条水閣についての新たな理解/『続日本紀』『日本後紀』に見る桓武天皇の行幸/羅城門がもつ現代的・今日的な意味/おわりに/基本史料/宮都関係略年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

眉毛ごもら

2
紀行文+宮都についての論考。実際に歩いてみよう派としては恭仁京、紫香楽京、長岡京、大津京来は未踏なので来年の目標にしよう。たまに斬新()な説も載っているでそこら辺は脳内のよくわからない棚に置いた。摂関期大好きなので内裏図はよく見るが大内裏図はだいたいさっと流し見していたせいで宴の松原の場所を長年勘違いしていたことが発覚。どセンターにあった。殺人事件とか妖怪とか出てたので勝手に内裏の北辺にあるのだろうと思っていたが内裏の西にぽっかり内裏とほぼ同サイズにあったので驚いた。イメージでなくちゃんと確認すると大事。2023/12/23

onepei

1
あっちこっち移動するなあ2023/11/26

おおい

1
歴史背景はともかく、もっと歩いてる紀行文がほしかった。2023/11/23

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