内容説明
「身勝手な女」と呼ばれたって一ミリも後悔なんかしないわ。
照子と瑠衣はともに七十歳。ふたりにはずっと我慢していたことがあった。照子は妻を使用人のように扱う夫に。瑠衣は老人マンションでの、陰湿な嫌がらせやつまらぬ派閥争いに。我慢の限界に達したある日、瑠衣は照子に助けを求める。親友からのSOSに、照子は車で瑠衣のもとに駆けつける。その足で照子が向かった先は彼女の自宅ではなく、長野の山奥だった。
新天地に来て、お金の心配を除き、ストレスのない暮らしを手に入れたふたり。照子と瑠衣は少しずつ自分の人生を取り戻していく。照子がこの地に来たのは、夫との暮らしを見限り、解放されるため。そしてもう一つ、照子には瑠衣に内緒の目的があった――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
311
井上 荒野は、新作中心に読んでいる作家です。著者版、テルマ&ルイーズ、面白くなくはないのですが、ここまでパクっても問題ないのでしょうか❓ https://www.coffret-web.jp/terukotorui/2023/11/09
ネギっ子gen
162
【逃げ出したのではない、見限ったのだ!】妻を見下す夫や老人マンションの陰湿な人間関係を見限った共に70歳の二人は、シルバーのBMWを駆って大脱走。劇画調の表紙イラストに萌ゆ。 “別離”のための荷造りで、<結婚後のアルバムもあるが、こちらは持っていかない。結婚式の写真も、パリへ新婚旅行へ行ったときの写真も、持っていきたいという気持ちには全然ならない。自分のその未練のなさに、照子は少し悲しくなり、それ以上に心強さを感じた>と。その凛とした決意に痺れる。BGMは、アバの「ダンシング・クイーン」。本屋大賞推し!⇒2024/01/21
みっちゃん
159
もう最高!それまでの人生をぶん投げて。大脱走する老女二人、ともに70歳。表紙の2人の何て愉しそうな痛快なその姿よ。こういう小説にありがちな「置いてきたもの」に対する心残りは一切ない。後ろは振り返らない。ただ前を向いて。その潔さ。潜伏先を持ち主もわからない空き別荘にするとか無謀すぎる、と思ったけどその場所を選んだ照子の真意には胸が熱くなった。お互いを思いやる心よ。エピローグ的な終章がまた秀逸。私にもまだやれる事がある。やったるぜ!痛快にして爽快なり。2023/12/04
モルク
142
今年70才の専業主婦の照子とシャンソン歌手の瑠衣。同じ中学だったが付き合いは30才の時のクラス会から、それでも40年。照子はセックスつき家政婦としかみない夫から、瑠衣は人間関係の面倒な老人マンションから、と一緒に逃避行。晩秋の別荘地、居住者の留守の他人の家に二人は住み着く。法を犯しているのだがこのふたりを見ていると応援したくなる。回りの人々の優しさにも包まれ…それにしても照子の緻密な計画には恐れ入る。その本当の目的を知ったとき、友情って素晴らしい。かっこいいふたりの今後に拍手。2024/02/12
hiace9000
137
かの名作映画オマージュの疾走感溢れる痛快シスターフッド小説。70歳の照子と瑠衣は対照的な性格。二人の人生にとってかけがえのなかったもの、それは大人の忘れ物だったのだろうか。過ちも失敗もあった人生を今ここから!と楽しむ二人から伝わるのは、他人の思う「老人観」を吹き飛ばす、人生の価値を決めるのは私!という強い意志。その逃避行は、悲壮感を吹き飛ばす、もはや気持ちいいまでのやりたい放題! そして、まさかの別視点?、粋な終わり方で〆る終章は、映画とは別解の素晴らしい納得解。名画を鑑賞し終えた以上の充実に満たされた。2024/07/04
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