井筒俊彦 世界と対話する哲学

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井筒俊彦 世界と対話する哲学

  • ISBN:9784766429152

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内容説明

言語の不可能性を乗り越え、自由の思想を追究した井筒俊彦。

自己と他者、自文化と異文化の「世界観」を架橋するために、「対話の哲学」を築いた軌跡を辿る。
 井筒俊彦は英文による最初の著作『言語と呪術』(1956年)で言語思想を彫琢し、それをその後の著述活動では、一貫して「自由」を求める思想として発展していった。井筒は、詩的直観を哲学の言葉で再現し、言語の限界を切り開き、囚われなき自在な心を求める。それを理解する手掛かりとなるのが、『言語と呪術』である(本書第一章)。
 『言語と呪術』の執筆以降、井筒は、「世界の経験」をあるがままに言語で表現しようとする思想を、古代の詩歌やクルアーン、東洋の古典思想に見出し、それらが提示する「世界観」を類型化し、対話させることを目指した。この「東洋思想の共時的構造化」の軌跡を、『言語と呪術』『スーフィズムと老荘思想』『意識と本質』等の代表作を読み解くことで辿り、その一貫した追究において、井筒が、「言語とアイデンティティ」「文化の均一化」という同時代の問題に対して、相対主義と本質主義を超克する〈自由なる思考〉を紡いだことを明らかにする。

目次

はじめに
第1章 記憶の彼方の言葉――『言語と呪術』とクルアーンの詩学
第2章 存在の夜の黎明――意味分析論の行方
第3章 生々流転する世界――「存在が花する」のメタ哲学へ向けて
第4章 存在零度の「眺め」――存在と本質の拮抗を超える『意識と本質』
第5章 世界と対話する哲学――自由なる思考を求めて

参考文献
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

gorgeanalogue

10
言語アラヤ識と意味マンダラのくだりが面白かった。言語アラヤ識が言語経験が「沈殿」して作られる貯蔵庫のようなもので、人間の意識は「識」の明滅する瞬間瞬間の「新たな創造」(変容)であるとすると、呪術的な力によって世界に呼びかけることは、どのように位置づけられるのか。それは「投企」と「応答」ではないかと思った。つまりそれが題名の「対話」ということか。「事物の本質的規定性を朦朧化」する新古今論をもう少しじっくり読んでみたい。2025/07/09

Go Extreme

1
記憶の彼方の言葉―『言語と呪術』とクルアーンの詩学:感情喚起の仕組み 意味は経験を実体化 存在の夜の密語 存在の夜の黎明―意味分析論の行方:言語と文化 クルアーンの意味世界 ソシュールとベルクソン 生々流転する世界―「存在が花する」メタ哲学:『スーフィズムと老荘思想』「哲学と世界共同体」とエラノス会議「新たな創造」「存在」のメタ的操作 本質主義を解体する存在の哲学:東洋の本質論と流出論 善の絶対無とその言語化 世界と対話する哲学―自由なる思考を求めて:アンチコスモスの創造性 東洋思想の脱構築 非連続の世界2023/11/03

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