内容説明
特殊な生い立ちから、人の心が理解できない少年・藤堂剛。友人の少女たちに裏切られた剛は、特殊な力で己を守ることにした。その力――『リセット』で彼女たちへの感情を全て消すことで。しかし、照れ隠しでついた嘘が原因で剛に『リセット』されたことに気付いた幼馴染の花園華は、素直になれない自分を反省し、剛との関係性を一から作り直すべくアプローチを始める。「普通」を希う不器用な少年が、少女たちと関係を「やりなおす」ことで青春を取り戻す物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
34
友人の少女たちに裏切られるたびにリセットして、感情を全て消してきた高校生・藤堂剛。彼と幼馴染から聞いた「嘘」から始まる青春小説。特殊な生い立ちで人の心が理解できない剛と、仲良くしていたのに照れ隠しで嘘をついた幼馴染の花園華、イジメまがいの悪戯で剛を傷つけてしまった同級生の六花、部活の先輩に迎合して剛を切り捨てた後輩の美々。傷つくたびにリセットする剛との関係性を一から作り直すべく再び勇気を出した華や、ヒロインたちそれぞれの後悔があって、その中でも変わらなかった想いがもたらした結末がとても印象的な物語でした。2023/10/31
わたー
18
★☆☆☆☆Not for me.HJ文庫公式レビュワープログラムにて。基本スペックが高いものの人の心を察することがド下手な主人公。彼には、精神的なストレスを与えられた際に、ストレッサーへの感情をリセットしてしまうという悪癖を持っていた。誤解によって幼馴染への恋愛感情をリセットしてしまった彼が、1度切り捨てた彼女たちと紡ぐラブコメ。ここまで合わない作品はいっそ珍しいと思うほど私向きではない作品だった。その最大にして致命的な理由が、主人公がサイコパスで、彼の一人称視点で物語が語られること。2023/11/08
rotti619
14
かなりハードな事情で人との関わりを”リセット”できる能力を持つ藤堂剛が、３名のヒロインからされた仕打ちに耐えられず”リセット”した所から始まるお話。たまに見かける主人公が壊れている系の話で、基本的にざまぁがセットとなっているケースが多いが、本作はヒロインごとにその後の対応が異なるようになっており、飽きが来ないようになっている。とはいえ、かなりキツイ展開が続き、ラストも意外な形を迎えるので、人によって好みが分かれるかも知れない。ただ、メインの幼馴染花園華のひたすらな頑張りは、物語の清涼剤となっていた。2023/11/13
真白優樹
14
人の心が分からず、自分の感情の全てをリセットする力を持った少年が、三人の少女への思い、青春をリセットし始まる物語。―――切り捨て闇へと葬る、その裏でどれだけ傷ついても。 リセット、という力が鍵となり、それが躊躇いもせず行使されるからかなり尖った味となっている物語であり、青春の苦みと痛みがこれでもかと盛り込まれている、心が痛くなる面白さがある物語である。リセットを乗り越え、もう一度初めから。しかし心が分からぬからこそその壁は高く。果たして少女達はその壁を乗り越えられるのか。 次巻も須らく期待であるべし。2023/11/01
シノミヤユウ
12
相手に向けた感情をリセットできる少年が、彼を好く少女達の想いを受けて成長していく恋愛譚。変わろうとする主人公を後押しするヒロイン二人が本当に可愛い！ 心の痛みを過剰に恐れ、他者と向き合うことから逃げていた主人公。情緒未発達で閉じこもりがちな主人公ですが、ヒロイン達にまっすぐ尽くすところもあり。主人公もヒロイン達も、逃げた先で痛みより辛い感情を抱いて、そこから本当の想いを知る後悔の苦さに打ちのめされました。だからこそ、そんな彼らが成長して、相手と逃げずに向き合い、痛くても希望を手に入れる姿がじんと来ます。2023/11/08
