内容説明
「ラインをチューブと捉える。そうすることで鈴木ヒラクは、私たちの生きるこの世界の見方に革命を起こすだろう。」ティム・インゴルド
ドローイングとはなにか? いまなぜ、ドローイングは世界的に重要視されているのか?
その答えは、描かれたラインを「チューブ」として捉えたときに見えてくる──。
国際的に注目されるアーティスト・鈴木ヒラクが書き下ろす渾身の〈ドローイング原論〉。
子供たちが無心に線を引き、植物が伸びてゆき、風が壁に痕跡を残す。
そんなふうにこの世界にあふれるドローイングを、タイムカプセルとして、
対話として、現在進行形で生きていくこととして捉えなおす、世界の見方が変わる一冊。
【古今東西のアーティストのドローイング、著者の作品に加え、粘菌からワームホール、カフカの手稿からコルトレーン自筆の楽譜まで、図版多数掲載】
目次
長いまえがき
第1章 ドローイングとチューブ1
あらゆる線は境界線である/線は接続し、分割する/チューブが交通を生む/
都市の網と遊べ/道具としてのチューブ/身体=チューブ/精神もまたチューブである
第2章 ドローイングとチューブ2
線の進歩主義/線を生きる/描写するか呼応するか
第3章 ドローイングと発掘
未来を思い出す/ドローイングという考古学/ドローイングを発見する/
人間なきドローイング/自然と人間の境界上に現れるドローイング/
人間の内側から発掘されるドローイング
第4章 ドローイングと書くこと
子供という古代/「かく」ことの構造/マーカーが発掘するもの/雑草がかく/
離陸するエクリチュール/描くと書くの探究史/ネガティヴハンドとグラフィティ/
大気、そして農耕・登山/穴を開けること/ラップというドローイング/光の記号/
未知に触れるスタイル/複数性へと向かうドローイング
第5章 ドローイングと空間・時間
都市のコウモリ/脳、網、粘菌/チューブ、ロープ、テープ/伸び縮みする線/
身体という楽器/ドローイングの魔法/HIP HOPとダブ/写真術とドローイング
第6章 ドローイングと対話
糸電話がつなぐもの/媒介としてのドローイング/テレドローイング/
ドローイング・オーケストラへ/他者の線と出会うこと/ライブでかくということ
あとがき
引用文献一覧/図版出典一覧/鈴木ヒラク作品・パフォーマンス/人名索引