未来社会と「意味」の境界

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未来社会と「意味」の境界

  • 著者名:谷口忠大/河島茂生/井上明人
  • 価格 ¥3,850(本体¥3,500)
  • 勁草書房(2023/10発売)
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  • ISBN:9784326603602

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内容説明

私たちにとって、あるいはAI・ロボットにとって「意味」とはどのようなものか。その「意味」はどこから立ち上がり、どのように作用するのか。大規模言語モデルがAIの可能性を拓いた現在だからこそ、重要となる「意味」についての考察。AI・ロボットと共存する未来社会に向けて構想すべき意味の学問に、学融的議論で接近する。

目次

第1部 AI・ロボットと人間にとっての「意味」

第1章 AI・ロボットとの次なる共存に向けて:「意味」を語る意味[河島茂生](メディア研究、情報倫理)
 1-1 社会的背景
 1-2 「意味」、生き物、人間社会、AI・ロボット
 1-3 意味の多様性と重要さ
 1-4 本書のアプローチ
 1-5 本書の枠組みと観察の位置

第2章 記号創発システム:身体と社会に基づく意味の創発[谷口忠大](創発システム、人工知能、ロボティクス)
 2-1 言葉の意味と環世界
 2-2 「閉じた認知」に生じる記号過程
 2-3 記号創発システム
 2-4 記号接地問題から記号創発問題へ
 2-5 記号創発ロボティクス
 2-6 ネオ・サイバネティクスと記号創発システム

第3章 ネオ・サイバネティクスからの接近: 生命システムによる意味創出と情報伝達というフィクション[西田洋平](ネオ・サイバネティクス、情報学、図書館情報学)
 3-1 生命と認知の表裏一体性
 3-2 生命システムによる意味創出
 3-3 基礎情報学とHACSモデル
 3-4 HACSと記号創発システムの異同
 3-5 記号創発ロボティクスの可能性

第4章 プラグマティズムからの接近:記号の意味とは何か[加藤隆文](プラグマティズムの哲学、美学、芸術学、記号論)
 4-1 意味について
 4-2  記号について:パースの記号論
 4-3 記号創発システムにおける人間の自己像
 4-4 プラグマティズム、探究共同体、記号創発システム

第2部 意味はどこから立ち上がるのか

第5章 記号創発ロボティクス:意味の工学的探究[長井隆行](知能ロボティクス)
 5-1 意味とは何か
 5-2 意味の三角形を構成する
 5-3 道具としてのロボット(意味と身体)

第6章 意味の身体性:記号創発ロボティクスとネオ・サイバネティクスの交差点[原島大輔](基礎情報学、表象文化論)
 6-1 意味の身体性
 6-2 コンピューティング・パラダイムとサイバネティック・パラダイム
 6-3 情報学的転回
 6-4 超越論的現象学
 6-5 メディア
 6-6 生命の意味

第7章 子どもとロボットの発達:生命情報から社会情報へ[佐治伸郎](言語心理学、言語習得)
 7-1 はじめに
 7-2 心のパターン:人間にとっての生命情報
 7-3 発達研究とロボティクス研究のこれから

第3部 意味はどのように作用するのか

第8章 ゲームキャラクターの人工知能:記号と哲学[三宅陽一郎](デジタルゲームAI)
 8-1 序論
 8-2 ゲーム世界をめぐる「記号」
 8-3 行動とインフォメーション・フロー
 8-4 環世界
 8-5 他者と「記号」の創発
 8-6 世界からのエンハンスメント
 8-7 キャラクターAIの階層化
 8-8 シミュレーションによる「記号」生成
 8-9 認識のダイナミクス
 8-10 意思決定の諸相
 8-11 身体運動の諸相
 8-12 まとめ

第9章 英語教育、記号創発ロボティクス、ネオ・サイバネティクス[山中司](応用言語学、言語哲学、言語コミュニケーション論)
 9-1 はじめに
 9-2 AIと言語学習者
 9-3 デイヴィッドソンの問題意識とプラグマティズム
 9-4 記号創発システム論と英語教育
 9-5 ネオ・サイバネティクスと英語教育
 9-6 おわりに

ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

shin_ash

5
記号創発システム論の関連で3冊購入したうちの三冊目。大変興味深い話であるが、ある意味で似た様な話題なので少し飽きてきてしまい、読書としては勿体無い読み方をしてしまった。とは言え、プラグマティズムとの関連やパースの記号論との関連、確率的生成モデルの解説などは自分の言葉で説明できる程ではないが理解の整理に役だった様に思う。またゲームのキャラクターAIの話は設計論的な話になるで、オートポイエティックな自律性とは微妙な関係になりつつも、設計的に考える視点での解説はこの領域では新鮮に感じた。今後も注目して行きたい。2024/11/23

Haruki

5
「意味」を主題に近年注目されるシステム論、人工知能のアプローチから、意味の立ち上り、作用、発達、コミュニケーションといった切り口での最前線を見ることができる。記号創発システム(谷口)、ネオ・サイバネティクスとHACS(西田)、パースの記号論とプラグマティズム(加藤)、記号創発ロボティクス(意味の三角形)(長井)、意味の身体性(原島)、子どもの社会的記号の獲得の発達(佐治)、ゲームにおける環世界性と記号情報の生成、設定(三宅)、英語教育とプラグマティズム/ネオ・サイバネティクス(山中)と広射程で興味深い。2023/11/12

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