内容説明
「世界がじわじわと雑貨化している気がする。これは豊かになって物の種類が増えたから、ってだけじゃない。それまでは雑貨とみなされてなかった物が、つぎつぎと雑貨に鞍がえしているせいなのだ」 ひとりで雑貨店を営む著者は、この社会のあらゆる事物を手がかりに「雑貨とは何か」を帳場で考えた。雑貨、消費社会、店の経営、人生についての、とても面白いエッセイ。
目次
I/夜と店の隅で/雑という字/半径一メートル/雑貨の銀河系/ちがいさえあれば/英字新聞/これは本ではない/予告された雑貨の記録/家路/雑貨の秋/音楽を聴いたころ/オフシーズン/ホットポー/II/道具考/路傍の神/千のキッチュ/千のクンデラ/十一月の谷/俗と俗とが出会うところ/弦楽四重奏曲第十五番/漏れかっこいい/スピード・オブ・ライフ/III/限界集落/船底の構造模型/パーリア的、ブラカマン的/悲しき熱帯魚/幽霊たち/最後のレゴたちの国で/落葉/文庫版あとがき 六年後のルノアールで/解説 小さく、遅く、むなしい、遁走 荒内佑
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
49
雑貨屋好きならこの本好きかもしれないと思った本。文章の透明感が高くてうっとりしてしまう。話の内容としては、雑貨についてや雑貨屋さんについて思索をしたエッセイとなっている。雑貨好きが愛する作家 宮沢賢治 サン=テグジュペリ トーベ・ヤンソン このラインナップが納得。たしかに好きそうと思ってしまった!2024/09/30
Roko
29
この世のあらゆるものが雑貨になっているという著者の言葉に、そうだねとうなづいてうなづいてしまいます。どんなものにもブランド名が付けられ、季節ごとに新製品が登場し、余りにも増えすぎてしまった雑貨たちの中から、わたしが好きなものを見出すのが、困難な時代になってしまったなぁと思うのです。2023/05/10
阿部義彦
21
ちくま文庫の最新刊です、親本は私も応援している一人出版社の草分け夏葉社です。という事は絶対マスにはウケない、しかし好事家には堪らない魅力の本という事です。著者は西荻窪で05年から雑貨屋『FALL』を開いた店主です。西荻窪と言えば気になる古書店『音羽館』のある所でググッたらこの2店は直ぐ近所です。東京に行く機会があればどちらも行きたいです。内容は一言では言えません。文化屋雑貨店、ヴィレッジ・ヴァンガード、マガジンハウス文化、陶芸家 工藤冬里、キッチュ、レゴの物語、音楽にまつわる話など。場所は店を選ぶ。2023/04/23
ふるい
6
大いなるインターネットの波にのみ込まれ、ほとんどすべての物たちが雑貨化した世界において、雑貨屋店主は何を考えているのか。趣味、嗜好、あらゆる選択肢が資本主義のアルゴリズムに先取りされゆく我々のむなしさは、どこへ向かうだろう。2023/05/02
natsumi
4
道具だった物が雑貨化していく世界で、雑貨を売るということ。雑貨を扱いながら、本当に愛しているものには雑貨と離れていてほしいとひそかに思う店主の言葉。みんな違ってみんないい、と言いながら「○○風」で画一化されていく世界の中では、なんだかわからないものを目指すしかない。なんだかわからないものについて考え続けてあがき続けなければ、同じようになにかが擦り減っていくのかもしれない。2023/05/08
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