内容説明
古い建物だが、格安の家賃が魅力の下宿屋「猫目荘」。再就職も婚活も上手くいかず焦る伊緒は、一番の新入りだ。食事は一緒、風呂も共同、住民は個性派揃いで戸惑うことばかり。だが、2人の男性大家が作るまかないは、クリームシチューや豚キムチ、温奴など、なじみの料理に旬の食材とアレンジを加え、目もお腹も幸せにしてくれる。そんな中、伊緒に思わぬ転機が――自分らしく生きたいと願うすべての人に贈る、美味しくて心温まる物語!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
涼
82
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/10/post-a6a98e.html 表紙にいるのは、ここの看板ネコでしょうか。2023/10/08
Karl Heintz Schneider
66
東京・阿佐ヶ谷、駅から離れた住宅街の一角にある「猫目荘」。まかない付きの下宿屋であるここは賃貸物件ではなく、旅館の範疇になるという。そんな今どき珍しい下宿屋に越してきた29歳の伊緒。人との距離が近い生活に最初は戸惑うが、やがて同居人たちとも気心が通い合うように。なかでも40代の女性がとても魅力的に描かれている。伊緒が仕事のことで落ち込んでいる時に話を聞き、いっしょに料理しないかと持ち掛ける。料理をしながら自分の辛い過去を語りだす。それを聞いた伊緒も自分の過去を語り始める。その自然なやり取りが素敵だった。2023/10/27
ぶんこ
60
表紙絵から想像していたのとは違った展開でした。古い価値観を押し付ける父、それに唯々諾々と従う母。嫌悪しながらも父のコネで就職。そこで初めてやりがいのある仕事としての東京転勤となるが、女がやりがいのある仕事なんて必要無いと、娘に独断で無かったことにした父。やっと父からの独立を決行し、上京。なかなか思うようにいかなかったが、親友の口コミで古い賄いつき下宿に転居。それが糸口となって、頑なな心が解けてくる。親友に「伊緒が自ら気づき、自ら動いたから、運命を手繰り寄せたんだよ」との言葉にジンときました。2024/05/11
はつばあば
58
昭和という時代は遠くになったとしみじみ思わされた本でした^_^;。LGBTと言う言葉にやっと慣れたと思ったら今度は「アロマ・アセク」という居場所がない人達がいてはると。これから益々少子化に向かうでしょう。あちこちで虐殺も起こってます。そんなんせんでも自然が・・地球が人類に警鐘を鳴らしているのに何アホな事してるんでしょうね。主人公の親に向ける想い、私は自由にさせてもらってここまできたけれど、・・娘達には自立を促して育てた事、分らんでもないだけ辛いなぁ。2023/10/13
里愛乍
55
格安で美味しいまかないつきの下宿屋なんて最高の物件やんと思うけど、昨今の若い人にはどうも不評らしい(ウチの娘も含めて)だからなのかな、どうにも伊緒ちゃんのことを近所のおばさん目線で見てしまい、文面からは結構な悪意を感じなくもない父親の方に感情移入してしまった。だからといって彼女を否定してるわけではないのだけど、せっかくのご縁ができた猫目荘でこれからどんどん成長していってほしいな。個人的に猫のボタンさんの出番はもう少しあってもよかったかもと我儘をいってみる。2025/02/20