ちくま文庫<br> 無言板アート入門

個数:1
紙書籍版価格
¥990
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

ちくま文庫
無言板アート入門

  • 著者名:楠見清【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2023/09発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480438980

ファイル: /

内容説明

誰かがなにかの目的で立てたはずなのに、雨風や紫外線などの影響で文字が消えてしまった街角の看板たち。そんな“もの言わぬ看板”=「無言板(Say Nothing Board)」を、作り人知らずのストリートアートとして鑑賞する。美術評論家である著者が、まち歩きの道すがらに発見、収集した路上の芸術をカラーで約200点収録&解説。これを読めば、いつものさんぽ道がまったく新しい美術館に見えてくる!

目次

第一章 定義:無言板とは何か/役に立たない/もの言わぬ看板/レディメイドの禅/無言板の類型と特徴/ホワイトボード型/純粋看板/ペインティング型/わびさび型/ラッピング型/穴埋め問題型/枯れ文字型/シルエット型/残像型/異次元型/第二章 鑑賞術:気がつけば街角は美術展/1 コンセプチュアルアート──言うことなしの芸術/モジナシ──街角にじっと佇む「無意味の物理モデル」/ああ無情報板──失われたインフォメーションの残響/エア看板──空(そら)に空(くう)を掲げるという禅問答/代役フレーム──失われた主の代わりに何を語るのか/孤立無縁仏──道端にひっそりと佇む謎の彫刻/2 アノニマスアート──作り人知らずの芸術/野良絵──ワイルドでタフな前衛絵画たち/独立無言板──街角アンデパンダン展/地図絵──ここはどこでもないどこか/禁断のシルエット──禁じられた行為が浮かび上がる/どうぶつの無言板──ペットから珍獣まであつまれ!/糊跡芸術──接着剤で描かれたストリートアート/テープ絵画──テープ跡が織りなす幾何学的抽象/ストリートテーピング術──文字を消したり書いたり/3 ミニマルアート──最少限であることの美学/空っぽ水槽──消えた言葉の魚たち/空色看板──空の色に似ている/緑色看板──目にやさしく心にもやさしい/背面無言板──背中で何も語らず/ロードサイド・モノリス──202X年路傍の旅/〈無〉確認発光物体──無字との遭遇/4 ファウンドオブジェ──見立ての力/わびさび看板──錆びてこそ寂びの美あり/梱包看板──ブルーシートに包まれて/蛇口看板──水も出ないし言葉も出ない/モノボケ無言板──見立ての芸術は詩であり笑いでもあり/どこでもないドア──扉の向こうは異次元?/脱落看板──傾いても筋を通し、落下しても落ちぶれない/名コンビ──並んだ姿がいい感じ/顔パレイドリア──笑う顔には福来る/5 コンクリート・ポエム──ストリートの詩篇/穴埋め看板──街角のクイズマスターからの出題です/上の句看板──消えた赤文字と残された黒文字/枯れ文字──劣化した難読文字も山の賑わい/過言板──落書きに埋もれて何言ってるかわからない/サイレント花言葉──花に託された言葉を映して/6 都市のポートレート──現代を生きる私たちの分身/ストライクゾーン看板──いくつになっても気分は野球少年/割れ看板──破壊によって創造するパンクなアート理論/カメレオン看板──文字とともに気配まで消す/案山子看板──都会に残された一本足のお化け/電柱無言板──地中化の波にいつか消えゆく/スリム無言板──文字が消えても黄色いだけで多くを語る/近代化無言遺産──歴史は語らず、ただそこにあるのみ/高所無言板──上を向いてまちを歩こう/第三章 考察:無と消費をめぐる文化史/無のキャンペーン/ナンセンスの森/無為に多忙/何もしないという戦術

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

50
トマソン以来の路上観察は今も生きている。何でもない物件に美を見いだすには、意味づけが重要ということだ。昔のデュシャンの「泉」は論議を呼んだが、作らない「作品」も鑑賞の対象になりうることを教えてくれた。物件(この呼び方も発明のひとつ)にタイトルを与える意味づけで、初めてアートになるという点を押さえておきたい。作品が注目されなかったり、隠れていたわけではないということ。トマソンの「純粋階段」「アタゴタイプ」などの概念を作ることがアートとしてのおもしろさでもある。さっそく今日から街歩きが楽しみになってきた。2023/10/17

阿部義彦

18
ちくま文庫、最新刊です。赤瀬川原平さんの路上観察に絡んで確か南伸坊さんが『ハリガミ考現学』という本を出していたと思いますが、これは其れの看板版トマソンとも言えると思います。街で見かける看板で、既に書かれた文字やイラストが消えてしまって何のメッセージも発していない物を著者は『無言板』と名付けて、タイプ事に分類して写真を撮りました。全部が消えたもの、一部分(特に赤色は退色し易い!)が消えて穴埋めパズルになっている物、無地になっているが、ペンキの跡や引っかき傷で抽象画の様な物、様々な看板に題名を付けます。2023/06/22

有理数

16
文字が消えてしまったり何らかの理由で壊れたりして、その役目を失った看板たちを観察する「無言板アート」の収集録。おそらく私の日常でも出くわすであろう看板たちだが、著者のような視点で見たことがあまり無い。こういった遊び心と世界を面白がる眼差しが、読み手の世界と、ただの散歩の解像度を押し上げてくれるる。「役目を終えた看板」が主題と言えど、どんな風に役目が終わってしまったのかという考察や、その周囲の風景たちも交えた鑑賞の妙が冴えわたる。そういう意味で、ここに載った看板たちは、役目を終えたとて生きている。2023/07/18

よいおいこらしょ

8
経年劣化や損傷、落書きで、何も読めなくなった看板を読むアート入門。自分もさんぽをするときの細やかな楽しみが増えた。日常にユーモアを……。さて、この半ナンセンスアートのような読めない看板は、再解釈することで新たな価値が生まれる。まるでデュシャンの「泉」のようなエッセイ2023/07/22

h_hukuro

3
街歩きが楽しくなる一冊。無地の1枚絵や乱雑な線の集まりを現代アートだと言われてもピンと来ないのですが、街中の消えた看板にアートを感じるのは、見る側が積極的にアートと感じるからなのではと思いました。2023/09/03

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21220071
  • ご注意事項

最近チェックした商品