内容説明
「君の選択肢に『No』はない。『Si(はい)』でなければ『morte(死)』だ」――1996年末、元官僚の証券マン・古葉慶太は、顧客の大富豪・マッシモからある計画を託される。それは、中国返還直前の香港から密かに運び出される国家機密を強奪せよというものだった。かつて政争に巻き込まれ失脚した古葉は、逆襲の機会とばかりに香港へ飛ぶ。だが、彼を待っていたのは、国籍もバラバラな“負け犬”仲間たちと、計画を狙う米露英中、各国情報機関だった――。裏切るか、見破るか。策謀の渦巻く香港を“負け犬”たちが駆け抜ける!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
toshi
76
2020年の長篇アクション・ミステリー。直木賞候補にもなったようです。舞台は中国返還直前の1996年の香港。ある大富豪の依頼により、世界中から猛者達が集められます。しかしその大富豪が殺害されてしまい、主人公達の逃避行が始まります。そこにはたくさんの裏切りや死が介在します。果たしてアンダードッグス(負け犬)達は、一矢報いることが出来るのか?私は福井晴敏の作風を想起しました。後半は色々な人物が出て来てキャラクターの区別が付かず、少し混乱しましたが、楽しい読書になりました。2025/06/28
オーウェン
57
これまでの長浦作品同様、激しいアクションと戦略的な物語。 そしてタイトルにある、負け犬たちの集団の反攻。 返還前の香港の話しであり、英米露中のエージェントたちが絡み合うアクション。 次第に陰謀が明らかになっていく構成。 そして負け犬たちの反逆と、裏切者の存在。 個人的に過去作の中でも1番とっつきやすい物語になっていて、普通にハリウッド辺りで映画化されてもおかしくない出来だ。2023/12/18
NAO
48
アメリカの意向に反発したため息子を殺害されたイタリア人資産家が画策した復讐の実行者に選ばれてしまった主人公。上司に逆らえず汚れ仕事をさせられ、挙句罪をなすりつけられ切り捨てられた負け犬が、負け犬のままでは終わりたくないと、命掛けの戦いが始まる。仲間の誰一人として心の内を見せず、本当のところ何者かもわからない。さまざまな国さまざまな機関の思惑が絡まりあい、誰が何を考えているのか全くわからない状況で、次々に襲いかかってくる試練。読む手が止まらなくなるハイスピードのサスペンスだった。2025/07/28
桜
43
「アンダードッグス」=『負け犬達』 3作目(リリー→マーダーズ)ですが、段々「説明感」がなくなって読みやすくなってる。 何が好きって、主人公(達)がみんな臆病で卑怯な人間だって事。そして「負け犬」だからって「優秀ではない」って事じゃないのよね。 負け犬のどこまでも意地汚い「やり方」が好き。2024/04/04
chiseiok
34
長浦京作品を続けて読了。今回はちょっぴりハートウォーミングな窮鼠猫噛みコンゲーム活劇です。弱者が強者に対して絶望的な戦いを挑む…系のプロットは自分大好物なんですよね。ただし長浦作品なので、弱者は本当に弱者とは限らず、味方は本当に味方とは限らない。裏切り上等、寝返り上等、昨日の敵は今日の友、敵の敵は味方、呉越同舟のジェットコースターが中国返還目前の香港を舞台に疾走します。相変らず登場人物が多く、設定がややこしいので、よくわからんまま読み進んじゃった部分もかなりありそうですが、結果面白かったので無問題(笑)。2024/05/11
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