内容説明
立て続けに起きた無差別殺人が裏で富裕層が教唆するゲームならば?
格差と貧困、SNSでの誹謗中傷、スマホ依存……。
『震える牛』『血の轍』『ガラパゴス』の著者が現代の歪みを露わにする社会派警察ミステリ
21歳の理子は金銭面で厳しい生活を送ってきたが、ある女性と出会い、人生が好転する。彼女に誘われてラウンジで働き、高い評価を受け、新規の店を任されることになった。充実した暮らしぶりをSNSにアップロードする一方で、その飛躍を妬む者も増えていく。百貨店で閑職に追いやられ、しまいには墓穴を掘ってクビになった小島もその一人だ。そんななか、世間では無差別殺人事件が立て続けに起きる。模倣犯なのか。警視庁サイバー犯罪対策課の長峰はインターネット上で一連の事件の奇妙な共通点に気づく。折しも、小島の理子への嫉妬心はやがて殺意に変わっていって――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
266
相場 英雄は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 今の社会現象を盛り込んだ社会派ミステリ、スリリングな展開で楽しめました。初期の松本清張や村上龍を思わせる雰囲気もありましたが、少し軽いかも知れません。 https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344041653/2023/10/16
旅するランナー
236
誰でもよかった。死刑になりたかった。SNSへの書き込みにより負の感情が増大していく。負け組の絶望、成功者への嫉妬。無差別殺人を装おったハイリスクなゲーム。京都末吉町通り、夜の祇園の一等地まで出てきて、現実味を帯びたストーリー展開にゾワゾワします。危ない世の中に不安を感じませんか、さぁどーデス?2023/12/15
いつでも母さん
168
これは小説、小説だから・・って思いながら読んだ。ゲームの名は「サドンデス」ふざけるな!人の命を賭してまで何がゲームだ。だが、人が堕ちていく過程は多分事実だろうと思うと苦しさが募る。SNSに上がる匿名の暴力に対抗するのは、警視庁のサイバー犯罪対策課しかないのが現状なのか?(追いかけっこだよね・・)人の心の中にある悪意の矛先を簡単に誘導・操作して、笑っている奴は昔からいて、無くならないのは何故だろう。それにしても、これ相場さん?って感じがしたのも正直なところだ。2023/10/09
しんたろー
156
相場さんの新作は、現代日本の問題点を強烈なサスペンスとして描いた内容…「いつもの相場作品ね?」と思われそうだが、数々の殺人に関しては現実を誇張する度合いが大きく感じて「いつもよりエンタメ度が高め」。しかし、リアリティがない訳ではなく(似た事件は何度もあったし)、格差社会の現状やネットの闇などは身近な恐怖なので、考えさせられる部分が多かった。少し引っかかったのは「他責は男性特有」という説…サービス業の身としては女性にも結構多いと思うので。警察側の長峰&森谷のコンビが良かったので、また何かで登場させて欲しい。2023/11/26
hirokun
111
星3 相場英雄さんの作品は、普段私の気がついていない視点からテーマを投げかけてくれるため、この作品も期待を持って読み始めた。今回の作品は、別の作家もたびたび指摘しているSNSの恐ろしさ、世界を股にかけた金融資本家たちが、金額の数値を増やさんがため、戦争をも辞さない策謀を張り巡らしていることの理不尽さを主張したかったのかもしれないが、今一つ作品に入り込めなかった。帯にあるように、相場さんは、社会派警察ミステリーとしてこの作品をかかれたのだろうか?2023/10/09




