内容説明
「俺はこの町で一番頭が悪く、なんのコネやツテもなく、やる気も金もないクソみたいな道具屋だ」
関西某所のとある古道具店。その店主は、かつてブログが登場する以前のインターネットで多くの読者を魅了した伝説のテキストサイトの著者だった――中卒、アングラ商売、アルコール依存症、ホームレスなど破格の経歴をもつ道具屋店主による、金と汗と汚物と愛にまみれた“冒険”の数々を、唯一無二の文体でつづった痛快私小説。
「俺だけのルールがある。俺専用のやつがな。誰だってそうだろ? 俺たちは世界のすべてを全員で共有してるわけじゃない。たまに交錯したり、部分的に共有してるだけだ。だから自分の世界を生きるのには、自分だけのやり方がいる。他のやつのやり方じゃダメなんだ」
【推薦】
古物のみならず人間の本質を見抜く確かな目。群れない。他人の評価に無関心。
クソをクソのまま描く作者の口の悪さと無類の筆力に圧倒された。
――こだまさん(作家)
目次
2018年
心の霧が晴れた隠喩
一緒に普通の量を食べて生きていこう
2019年
どこかの母の模倣だな
こんなでたらめな昼飯があるのか
雨のついた網戸に消しゴムなげてみ
「楽しいよ!」と書いてあると泣きそうになる
資産を有効活用して一日気分がいい
鋭角的にかわいい、鈍角的にもかわいい
水筒という家事がある
空気があったまって膨張したんじゃないの
俺はどうなってしまうのだろう
「あるなら食べる」ほど豊かなことはない
今日の3時ごろすごかった
クイズの脇が甘い
ケーキに隙間をみつけてくやしくて泣いた
0.5人の自分
みんなかわいいかわいいと言って見ています
思えばずっと誰かの歯が抜けていた
冷蔵庫ではないこれはタンスだ
フィクションは雑でも平和だが現実は優しいほうがいい
それでもサンタは強引に来た
2020年
横からスッとドラえもんが入ってくる
ぬいぐるみが助け
いつも私をどん欲に確認する
ていねいに細かく拾って牽制していく
月ばかりみているがそれがいい
椅子の下を這って通り過ぎた
屈辱要素なくわたしをパシらせて
決めてもらえると楽でありがたい
28年の月日を経て落第がむくわれた
子どもが子どもの世界の情報を交換している
なみへい、ふな
今日もかわいいですね
純粋なから揚げの行列
やることがなくて優雅
きっと一生なおらない
体はコンビニに入っていった
送り迎えのことばかり考えていた
気球の絵だ
ふたりで絶対に半分
夜中に目を覚ましたいからもう寝る
チャーハンに気持ちが集中した
いつも自分を気分よくしている
元服である
みんな歯を投げているらしい
ナンから煙が出ているぞ
心を揺さぶらない映画を見きわめる
塩で召し上がるのは後ろめたい
ちょっと踊ったりすぐにかけだす
つつみかくさない自意識
誰かが重いな
真逆の「屋」が来てしまったな
知ってるやつ以外ぜんぶうそみたい
サンタが誰かを知っている人にも来る
全身に力を込めて体をぶるぶるふるわせるから見てて
意外な思春期の来かたをしている
スーコー言わずに飲んでみよ
2021年
あとはエアコンだけある
いまいちばんどうでもいいこと
歯が小さいのだが
私だけが実情を知り不明を実感している、わかっている私がいちばんわかっていない
30秒は10秒が3個
歯の皮一枚
腸壁の側を皮膚にする
なにも起こらない予感
菓子パンは子にやる
糊を買いにいこうくらいの誘い
世界一の墓
餃子の数を数えて
とらわれなさが真実をつかむ
コロナ時代の買い食い
ピザが食べ足りないのは絶対に嫌だ
本当に家族で楽しいだろうか
午後7時25分、逮捕
らくだだと思っていますか?
世の中たいていのことはうまくいかない、なのに
ウーバーイーツのみなさんがぜんぶカブの出前だったら
まだまだ地力を出してはいないはずです
あらぶる群衆
さまざまな感情を一度に持たすなよ
ちゃんとしたファンの人が使う言葉
遊んで暮らさず商売を
治る自信のある肋骨
2022年
とりあえず子らにバナナを渡す
来たな待っていたぞ
前提としてとても明るい
すべてが謎のトラックが
確認して両替を頼む
安ジャムと高ジャム
ペットボトルを海に捨てない
心が遭難している
家のことは、なにもかも忘れてしまう
いないと本当にいない
壺のなかのグリーンカレー
ほか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
masa
Y2K☮
くさてる
zirou1984
春が来た
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