内容説明
中国から伝わった象棋は、日本独自の駒とルールにつくり直され、将棋として根付いていった。平安時代の宮廷で高貴な人々が観て楽しんだ将棋は、寺社で大将棋へと発展し、武家社会でも合戦と結びついた兵戯として、また処世の一つとして広まってゆく。賭将棋に熱中する武士や僧、富裕な都市民も多く、しばしば幕府に禁じられたが、日常的な遊戯となって、現在の40枚制将棋が成立する。
出土駒や史料をもとに、日本文化として将棋が形成されていく歴史を明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
65
チェス、中国象棋、将棋のゲーム性の違いは、それぞれの文化圏での実戦での戦闘方法の違いによるとして、論じている。それがどこまで正しいかは、難しいところだと思うけれども。 2023/08/20
kenitirokikuti
13
山川出版社から。著者も日本中世史のひとである。元金沢文庫の研究員だそうな。将棋は指せるが、大学時代はウォーゲーマーだったそうである。そのせいだろうか、将棋の起源を遊戯史とするのは臆断とする。兵棋書の伝来が先であり、社会の変化によりその読者が武人から文人となることで、軍団指揮のシミュレーションから遊戯としてのシムになる。中国唐代象棋は兵棋であり攻城戦のイメージ(駒が兵であり、消耗戦する。飛車角にあたる駒は「炮」)、平安小将棋(飛車角がない)は駒は部隊であり、野戦のイメージである。なるほど・2023/07/03
スプリント
9
主に平安・鎌倉時代の将棋の実態を説明している。 過去の定説を史料をもとに覆していく形式となっており分かりやすい。2023/08/18
イツシノコヲリ
5
平安小将棋の段階で今の飛車角落ちの状態であり、鎌倉時代には駒を再び使っていることが確認されるなど、意外と今の将棋と変化していないと感じた。平安時代には上流貴族が鑑賞するものであったが、鎌倉時代には武家にも浸透したが、賭将棋が流行したため禁止になったという。しかし実際は大勢の人々が隠れて行っていた。室町時代には公家・武士だけではなく裕福な町人が嗜むようになる。将棋の起源そのものは、中国のように城に囲うという発想よりは野戦ではないかという指摘は興味深かった。2023/10/24
⭐︎治栄⭐︎
4
娘婿からの誕生祝い第3段。平安時代からの将棋と社会の実態が説明された本。超難解な内容もあり途中で挫折しそうになったけども趣味である将棋への愛着もあり無事に読破できた。将棋史を次世代へ引き継ぐために微力ながら貢献できればと感じた。2025/05/12
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