内容説明
父を悪質なプロ経営者たちに潰された過去を持つ投資ファンド女性副社長・樋熊令は、彼らが再び暗躍を始めたのを知り、世界経済の矛盾を利用した一世一代の経済ゲリラ戦を仕掛け復讐を開始する。リンクし膨張を続ける各国のマーケットで、何が起こるのか？ 予見小説の雄・楡周平（『プラチナ・タウン』『日本ゲートウェイ』『限界国家』）が最新の潮流を駆使して描く、迫真のマネーゲーム！
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
192
楡 周平は、永年に渡って新作をコンスタントに読んでいる作家です。日産をモデルにしたかのような株価操作、企業買収劇、カルロス・ゴーンばりのアクションがあるかと思いきや、意外とあっさり終わりました。アメリカに未だ先住民特権が残っていて、それが悪用されたり、逆差別になっていることを初めて知りました。流石、差別大国です（笑） 太陽光パネルの発電だけで走られるEVは開発されないでしょうか❓ https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/97843341005062023/10/25
PEN-F
51
なんかもうちょっとシビアな現実を突きつけてくれる企業買収やらマネーゲームのお話かと思ってたら、物事がトントン拍子に上手くいくかなりほっこりしちゃう投資ファンド版水戸黄門みたいな感じのお話でした。そもそも最近よく耳にするプロ経営者って言葉が面白い。プロって言葉が、その職業で生計を立てていることを言うのであれば、プロサラリーマン、プロ公務員、プロヤクザ、世の中の社会人は皆プロだよね。2023/12/03
hirokun
43
★4 楡周平さんは好きな作家さんで、新刊を中心に読んでいる。今回の作品のテーマ自体は、投資業界における空売りで、過去においてもいろんな作家の作品、またドキュメンタリとしても描かれている。人間の欲は尽きることがない。持てる者と持たざる者の格差がますます拡大しており、このことが私たちの様々な環境を破壊する可能性があることを実感している。米国における今後の大統領選挙の行方を含め、資本主義の悪影響、本質が人類を滅ぼしてしまわないか懸念される。2023/11/09
日の丸タック
40
驕る平家は久しからず…経済の成り立ち、そして資本主義の基本！ 今世界は本当に大きな転換点を迎えている。産業革命以来の社会構造の根本の変革！ガソリンを使ったエンジン自動車の衰退…電気モーターEV自動車。日本が世界に誇った自動車産業の優位性は根本から失われ、産業構造からもなかなかEVに舵を切れないお家事情…良くも悪しくも下請けどころか本体も衰退の一途を辿らざる得ない。中国のえげつない実態、そして人口減も産業の衰退も明らかな日本！中国の植民地的な立場に陥るラストは、まんざら夢物語でもない、近未来の日本の姿かも？2023/12/12
空のかなた
33
流石、楡周平さんは時流を押さえてくる。企業再建のプロとして鳴物入りで外国人経営者が招聘される。不採算事業を整理し余剰人員としてリストラする、一時的に業績は回復。それは表向き、その先は後任に委ねたいと退き、巨万の富を手にして退場。面従腹背の日本人役員達は保身のみ。心当たりがあり過ぎて情けなくなる。これにEV車、中国経済の危うさとしたたかさ、株の空売り含めた駆け引き、アメリカの先住民特権を悪用した名義貸しの仕組み等、知識の密度の濃さが凄い。ウシジマ・ヒグマ投資ファンドの一癖あるメンバー達でシリーズ化も。2023/11/05
