内容説明
【本書は『柄谷行人初期論文集』、のち『思想はいかに可能か』として刊行された単行本の文庫化です】
2022年に「哲学のノーベル賞」と呼ばれるバーグルエン哲学・文化賞をアジア人として初めて受賞した柄谷行人が、1969年の群像新人文学賞評論部門当選作「〈意識〉と〈自然〉――漱石試論」以前に書いた「思想はいかに可能か」(東大新聞五月祭賞佳作)「新しい哲学」(同)や、群像新人賞当選作を読んだ「ユリイカ」編集長三浦雅士の依頼によって書かれた「サドの自然概念に関するノート」など、1966年から72年にかけて発表された7編からなる初期論文集。
著者によれば「遠い過去でありすぎ」また「幼稚な考え方や言葉使いが多くて閉口」しつつも「近年において自分が考えていることに近いところが少なからずあって、驚きもした」テクストである。
すでに思想家柄谷行人の思考の基本的構造が現れていたという意味において、本書を味読することは、最新刊『力と交換様式』読解にも役立つであろう。
目次
【本書は『柄谷行人初期論文集』、のち『思想はいかに可能か』として刊行された単行本の文庫化です】
思想はいかに可能か
新しい哲学
『アレクサンドリア・カルテット』の弁証法
「アメリカの息子」のノート
自然過程論
現代批評の陥穽――私性と個体性
サドの自然概念に関するノート
著者自身による解題
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
逆丸カツハ
33
若いうちからやっぱすげぇなぁと思った。いくつかの言説は今の論壇にも刺さる、というよりも、その指摘が真面目に受け取られていないものがあるなという感じがする。いたし方なし。2024/09/05
金北山の麓に生まれ育って
3
【「サッパリ分からんが二十歳そこそこでこんな文章が書けるのはすごい」に同意】最近柄谷氏は昔を振り返ったインタビュアー記事をネットで多発している、その中身が面白かったので手に取った、確かに初期の文芸批評は後年の思想的な著作例えばかの「マルクス...」より全然とっつきやすい、柄谷氏が吉本や江藤のやはり初期の文章に感動したその瑞々しい気持ちが漲っているじゃないですか?良いですよね(難しくて理解しきれなくても)文章になまめさもあり好きです、文芸批評は。あと蓮見や浅田と比べると柄谷氏は本質的に暖かくて好感を持つ。 2024/07/22
yoyogi kazuo
2
サッパリ分からんが二十歳そこそこでこんな文章が書けるのはすごいと思った。付録の年譜は詳細で役に立つが完全ではない。2024/06/20