内容説明
人気ブックデザイナーである名久井直子が雑誌『デザインのひきだし』誌上を舞台に、5年以上に渡って取材してきた、本づくり・紙ものづくりの16の現場。そこはどこも卓越した技が光る匠の現場だった。なかなか見ることができないそんな現場を、ブックデザイナーならではの視線から徹底的に見学する。
目次
紙づくりの現場(印刷用紙抄造/王子製紙株式会社苫小牧工場;ファンシーペーパー抄造/富士共和製紙株式会社 ほか)
インキづくりの現場(顔料製造/大日精化工業株式会社;インキ製造/株式会社T&K TOKA)
製版・印刷加工の現場(銅版印刷/銅版印刷株式会社;封筒・ステーショナリー製造/株式会社羽車 ほか)
製本の現場(製本/株式会社博勝堂;製本/加藤製本株式会社 ほか)
本の流通の現場(取次/日本出版販売株式会社)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
78
イベント『2021年、今年読んだ本はこれだ!』での夜名月さんのおすすめ本。和久井さんが本にまつわる工場を見学するルポ。箔押しやエンボス加工や製函が面白かった。最後の取次で和久井さんが頭に箱を乗せている姿は貴重!2022/01/10
夜長月🌙@読書会10周年
77
本づくりの上流から下流まで全部をこの一冊で見せてくれます。最初は木がパルプになる所からはじまり、紙づくり、インク、印刷、製本から本の取次店まで。それぞれ一社だけでなく数社を比べてみることができます。読むと本を作りたくなってきます。エンボス加工を入れて箔押しして活版印刷で和綴じして……。とんでもない高価本になりそうです。私がいつもお願いしているのは「お年玉商會」。袋とじやらスピン付け、編集や作文の一部もしてくれてそのセンスのよさは抜群です。2021/09/27
佐島楓
56
ブックデザイナーの名久井直子さんが本や紙ものの生まれる場所を見に行くルポ。楽しそうな写真がいっぱいなので飽きずに読める。物流センターにまで足を運んでいるのがおもしろく、製紙・印刷・製本・流通と本の製造過程を見ることができるのが特徴。書店などでできあがったモノとして手に入れていた本は、こんなにもたくさんの工程を経ている。2021/07/31
なる
39
本ができるまでの各工程(紙づくり、インキ、製版・印刷加工、製本、流通)に携わっている企業、その中にある工場を一つ一つ見学して行った工場見学記。一般にはまず目にすることのない機械や、伝統工芸と言ってもいいような職人技術の一端を垣間見れる。見学の中心人物である名久井直子氏はブックデザイナーなので、そのいくつかは実際の仕事に関係しているのもあって興味深い様子も見てとれる。本に向き合って生業を立てている人ならではの視点で、前半は新鮮に驚嘆する様子、後半になればなるほど具体的な感想が出てくるのも面白い。2022/04/01
Roko
34
本や紙って身近なものなのに、それがどんなところでどのように作られているのかは知らないことばかりです。ここで取り上げられているのは紙やインキがどのように作られているのか?印刷にはどのような種類があり、どのように印刷されるのか?印刷された紙をどのように製本するのか?そして、本をどのように書店へ送り届けているのか?どの工程も普段は目にすることができない技術屋さんの世界です。和綴じって、教本やアルバムだけでなく、最近は御朱印帳の需要が多くなっているのですって。「紙もの」はホントにいろいろあって楽しいです。2021/11/05