内容説明
人の心は鬼よりも不可思議で恐ろしい。恐怖、哀切、妖艶、感嘆――鬼にまつわる説話を大胆に脚色した、奇想と怪異の短編集。鬼が出ると噂の安義橋を渡ることになった太郎暮房。そこで出会った艶やかな髪と白い肌を持つ見目麗しい女は、思いがけないことを口にするのだが。(「安義橋秘聞」)ほか全八話を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くろばーちゃん
3
どの物語も面白かった。内容的には、『陰陽師』と似たものが多かったが、お決まりの晴明と博雅のやり取りがない分、容赦ない終わり方で、緊張したまま次の物語を読む、という感じだった。うまいな、とは思ったが、私の大好きな朱川さんらしい優しさが感じられる場面が少なかったように思う。かと言って、いわゆる黒朱川というほどショッキングな場面もなかった。どうも朱川作品を読む時は、期待が大きくなってしまう。2023/11/30
akari
3
鬼とは? 人の心に棲む鬼、鬼にならねば生きられなかったもの、虐げられしもの。それぞれの物語がやがて大江山の酒呑童子に収束してゆく。新しい今昔物語。2023/09/30
きよみオレンジ
1
鬼の様になった人の話し。少しいい話しもあれば悲しい結末の話しもあった。2024/09/09
taro
1
結局いわゆる角の生えた化け物としての「鬼」は登場せず。人が人ならざる者に変り果てる姿が鬼と呼ばれるものなのだろうかという話。今昔物語等を朱川先生のアレンジで新たな物語に再構築されています。現代の創作物のほとんども元をたどれば、大昔に創作?された今昔物語に行き着くのでは。2023/11/30
ロム
1
人が鬼を作る。弱いが故に鬼を棲まわせるしかなかった、人間たちのお話。これは久々にビビッときた。おもしろかった。何より作家の魅せ方がうますぎる。オチは曖昧だったけれど、茨木童子と酒呑童子の話がお気に入りです。2023/09/16