その「民衆」とは誰なのか - ジェンダー・階級・アイデンティティ

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その「民衆」とは誰なのか - ジェンダー・階級・アイデンティティ

  • 著者名:中谷いずみ
  • 価格 ¥3,300(本体¥3,000)
  • 青弓社(2023/08発売)
  • ポイント 30pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787233585

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内容説明

1930年代と50年代、それは人々が主体性に目覚め、闘争や自己表現を集団で企てた時代だった――戦争文学から綴方運動、女性運動、原水爆言説を議論の対象にして、多様な表象行為を実践する人々のありようを解きほぐし、〈民衆〉の今日的な可能性に迫る。

目次

はじめに

第1部 一九三八年、拡張する文学――周縁の発見と包摂

第1章 「民族」の〈歴史性〉と「民衆」の〈普遍性〉――島木健作『生活の探求』、火野葦平『麦と兵隊』
 1 「民衆」「大衆」へのまなざし
 2 「民衆」の称揚が意味するもの
 3 「農民」ないし「民衆」の表象――島木健作『生活の探求』
 4 「民族」の境界を越えて――火野葦平『麦と兵隊』
 5 「文学」への期待

第2章 周縁を表象する書き手たち――豊田正子『綴方教室』、火野葦平『麦と兵隊』
 1 『綴方教室』ブーム
 2 綴方の文体規範と書き手像
 3 火野葦平『麦と兵隊』の語り
 4 ジャンルを超える価値
 5 拡張する文学

第3章 「少女」たちの語りのゆくえ――太宰治「女生徒」「千代女」とその周辺
 1 鑑賞すべき「生地のよさ」
 2 「何心なく」書くこと――太宰治「千代女」
 3 「女生徒」のセクシュアリティ
 4 太宰治の「青春」と「少女」たちの語りのゆくえ

第2部 一九五〇年代、綴る/語る女たち――発話の政治性あるいはマジョリティ形成とアイデンティティ

第4章 「人民文学」と〈書くこと〉――階級的視点と国民文学論
 1 「人民文学」という雑誌
 2 「勤労者」の文学
 3 労働者階級は何を(傍点2字)書きうるのか
 4 「国民文学」をめぐって
 5 どのように(傍点5字)書くべきなのか

第5章 「私」を綴る「人びと」――一九五〇年代における「綴方」
 1 「綴方」をめぐって
 2 江口江一「母の死とその後」
 3 意識へのまなざし――一九五〇年代の言説空間
 4 表象される「なかまたち」
 5 無色な「大衆」の登場

第6章 泣く「女」たち――「平和」の語りとジェンダー
 1 『二十四の瞳』と日本教職員組合婦人部
 2 模索される「女教師」像――第一回婦人教員研究協議会とジェンダー
 3 報告から語りへ――『扉をひらくもの』と『母と女教師と』
 4 〈愛〉と〈無力〉――映画『二十四の瞳』
 5 「涙」の力

第7章 〈未来〉の諸相――原水爆禁止署名運動とジェンダー
 1 原水爆禁止署名運動
 2 女性表象と未来志向
 3 破綻する時間の物語――大田洋子『夕凪の街と人と――一九五三年の実態』
 4 〈未来〉は誰のものか
 5 〈未来〉の諸相

終章 〈無色〉な主体のゆくえ――「声」の承認をめぐって

初出一覧

おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

K

3
久しぶり製本された本を頭から全部読んだ。 いわゆる国策文学の話かなと思って、日本浪曼派周辺の連中がわちゃわちゃ言っている話だろうと踏んでいたら、裏切られてかなり驚いた。戦前の思想弾圧によって転向したプロレタリアート達が、その概念を使って「民衆」概念の拡大、挙国一致体制の完成に参与していたという、驚愕。(よく考えれば世界史レベルでは同じ話があった…)戦時へ向かう挙国一致体制が、「『民衆』概念の拡大」「プリミティブな国民性の称揚」「国民の『内』と『外』の概念の明示」の要素によって完成していった様が(続く)2019/01/04

aabbkon

0
くそ面白い。「子どもというレトリック」をもっと自覚した先に何があるわけでもないけど,それを指摘することは大好き。2014/01/06

よっちん

0
研究室2022/12/19

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