内容説明
人の命はいつはじまるのか--この問いがアメリカで大統領選挙の争点となり、ヨーロッパで法制化が急がれる原因となっているのはなぜか。臓器移植や人体商品の売買が南北問題を激化させ、韓国で起きた科学史上稀に見るスキャンダルも、そうした動きの一例として位置づけられる。今や生命倫理は政治問題となったのだ。生命めぐる急速な技術革新と人類の共通感情との間にあるギャップを埋めるために必要な視座を提示する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おらひらお
3
2006年初版。人の体をめぐる現代の政策の在り方や各国における考え方の違いを示したものです。アメリカではNPOが集めた臓器や皮膚等が転売されていうとは全く知りませんでした・・・。2013/04/09
takao
2
ふむ2022/07/04
misui
2
フーコーの生-権力概念を念頭に、バイオテクノロジーの発達にともなう政治・倫理的諸問題を概観する。扱われているのはヒトゲノム、バイオバンク、ヒト胚、人体の商品化など、「内なる自然」の解明とともに表面化した問題で、各国の取り組みを比較して新しい規範への思考を促している。諸外国との問題意識の共有は早急になされるべきだと思うが、昨今のTPP騒動を見るにつけ、なかなか暗澹とした気分にさせられる。政府は頼りにならないから結局は民間が頑張るしかないということなのかな。2011/11/02
あさ
1
内容は興味深いが、全体の構成と文章そのものがかなり良くないと感じた。新書にしては相当に読みづらい。日本はキリスト教的価値観が実際に説得力を持つ社会ではないのに、欧米の生命倫理観をそのまま輸入しているという指摘にはなるほどと思った。2023/10/18
keepfine
1
国際比較がよい。南北格差を利用した臓器ツアーがインドでは一大産業となっている。アメリカでは他者危害原理の自由主義思想のもと、自己決定と自己責任で臓器移植等行われる。また自己決定権は富裕層が独占。ヨーロッパではフランスが先進的で、自己の身体の野放図な処分は公序の破壊を招くとの宣言がなされている。こちらはフランス革命以来の「連帯」思想が根底にある。翻って日本。バイオエシクス(倫理)の議論にとどまり、バイオポリティクスにまで踏み込まれない。法哲学的な観点もない。本書の刊行から10年経つが、さて。2016/05/01
-
- 電子書籍
- ハイフロンティア【タテヨミ】第153話…
-
- 電子書籍
- ニューズウィーク日本版 2022年 1…
-
- 電子書籍
- 非がん疾患のエンドオブライフ・ケア(E…
-
- 電子書籍
- せんせいのお人形 4【フルカラー】