新潮選書<br> 嫉妬と階級の『源氏物語』(新潮選書)

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新潮選書
嫉妬と階級の『源氏物語』(新潮選書)

  • 著者名:大塚ひかり【著】
  • 価格 ¥1,815(本体¥1,650)
  • 新潮社(2023/10発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784106039034

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内容説明

上流貴族から祖父の代に零落し、夫も亡くし、藤原道長の「お手つき」となり、その娘の家庭教師に甘んじた紫式部。「落ちぶれ感」を抱えた彼女が「もうひとつの人生」を求めて書きはじめた物語には、階級社会に渦巻く激しい嫉妬が描かれている。人気古典エッセイストが、源氏物語に秘められた紫式部のメッセージを読み解く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shikashika555

47
驚くくらい読みやすくてスルスルと頭に入る。 これは源氏物語を読む皆様に副読本としてオススメしたいくらい。 嫉妬と階級という 旧基準でいくと直截的に過ぎる切り口も、第二部までを「数ならぬ身」の上昇物語、宇治十帖を 下降の物語とする解釈も新鮮! そして 「少子、子なし」という部分をクローズアップして、それを現状への抵抗と見なす解釈も。 嫉妬と階級に囚われて身動き取れない女性たち、感情を描かれなかった彼女たちの声に思いを馳せる解釈には「そーだよね、そーいうとこあるよね、うん」と手を取って頷きたくなる。2024/01/11

tosca

32
「源氏物語」をしっかり読んだ事が無いので、曖昧だった人間関係、血縁関係が今更ながら分かったような気がする。紫式部がいかに階級を意識していたか「落ちぶれ貴族」と「成り上がり」、確かに「源氏物語」は階級と嫉妬が全てと言っても過言ではないような気がしてきた。源氏が死んだ後の話や宇治十帖も、うっすらとした記憶しか無かったので、非常に分かりやすくて良かった。昔「紫の上」があまり好きじゃなかったのは、なるほど優等生的な感じが嫌いだったのかと腑に落ちた。生霊になるくらいの「六条御息所」が好きだった高校生の頃の記憶が蘇る2024/08/23

もえ

25
『源氏物語』を嫉妬と階級の観点から読み解いていて面白い。そもそも『源氏物語』の冒頭には、既に嫉妬と階級が描かれていて、源氏の母の桐壺更衣は、帝からの身分に相応しからぬ寵愛を受け、嫉妬と中傷の中で亡くなる。この物語の構造が、最終的に宇治十帖の浮舟の出家にまで繋がっていくという。召人にスポットを当てたり、「数」というキーワードにこだわったり、『源氏物語』の主要女君は少子・子無しが多い等、興味深い視点が多かった。最近の女性人気ブロガーへの読者の嫉妬の話は、現代の我々にも嫉妬と階級の構造が存在すると気づかされる。2023/11/23

崩紫サロメ

19
『源氏物語』を「階級」から読み直し、そこから生まれる嫉妬について読み解く。紫式部が(清少納言などとは違い)「高貴な身分であったが落ちぶれた受領階級」出身であることに着目し、作中に出てくる受領階級や落ちぶれた貴人の内心、また彼女/彼らに対する視線が非常にリアルに描かれていることという指摘に納得。また、出家した浮舟こそが自分の生きる道を選び、「結婚しなくてすむ」という幸せを得たという解釈、現代的かと思ったが、よく考えてみれば今より更に踏みにじられてきた平安時代の女性こそそう思っていたのではないか。2024/01/09

renren

11
これは当たり本! 源氏の女君たちの階級と血縁を詳細に記しつつ、その行動言動を示し、階級の上下同輩に対する嫉妬の細かい描き分け、「人の数」(上位階級者に人格として扱われること)に入らぬことの嘆き、「召人」(気軽な性の相手にされる女房達)がぐっと意思を強く持つ宇治十帖の解説の活き活きしてること。初めて源氏を面白いと思った。紫式部、「漢字の一も知らないふり」の処世術からイヤな女と思ってたけども、紫の上の口を借りて「女は窮屈で憐れだ。感動したり面白いと思うこともわからないふりで引っ込んだり隠れたり、2024/09/10

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