内容説明
女子の中等教育機関として近代日本に存在した高等女学校とは、いかなる学校だったのか。また、良妻賢母教育の内実をめぐって、どんな議論が行われ、どのような教育が実施されたのか。資料を基に、ジェンダー化された教育制度や教育内容を明らかにしつつ、女性が教育を受けることの意味、ひいては女性にとっての近代の意味を検討する。
目次
はじめに
第一章 高等女学校という学校
一 高等女学校の成立
二 制度からみた高等女学校
第二章 普通教育か実用教育か
一 高等女学校の教育
二 実科高等女学校の教育
三 普通教育の重視
第三章 入学・半途退学・卒業
一 義務教育修了後の進学
二 高等女学校への進学
三 半途退学者
四 卒業後の進路
五 入学難関校における半途退学・卒業後の進路
第四章 進学する女性
一 女子高等師範学校
二 女子専門学校
三 高等女学校の専攻科・高等科・補習科
四 師範学校第二部
五 臨時教員養成所
六 各種学校
七 大学
第五章 就職する女性
一 高等女学校卒業後の就職
二 職業婦人調査からみる高等女学校卒業生の就職
三 女性の職業
終章 高等女学校に行くということ
おわりに
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いとう・しんご
8
読友さんきっかけ。僕の母を含め戦前に少女期を過ごした女性たちから女学校進学が憧れだった、と言う話しを随分、聞かされていたので、興味を抱きました。政府の諸規定や統計、先行研究により制度や学生の概要、進学先、就職先などの全体像を教えてくれます。ややネタバレですが「女性にとって近代という時代は悩ましい」P315という著者が漏らす言葉が全体を表しているような気もしました。とはいえ、時や所を問わず、女性にとって家庭とキャリアの両立という問題、あるいは産む性という問題は常に悩ましいものなのかもしれません。2023/09/08