内容説明
疲弊する教師、校則、部活動、感染症 ……
子どもをめぐる不合理を可視化する
学校における喫緊の課題である「部活動」「校則」「虐待といじめ」などの問題を、著者独自の観点から多角的に分析する。学校の虐待といじめは増えているのか。部活動はだれにとって問題なのか。校則は変わるのか。データを丁寧に分析し、結果から見える「真実」、そして子どもたちや教師たちの「苦悩」がどこにあるのかを明らかにする。
目次
プロローグ
第Ⅰ部 学校と「臨床」
1 「臨床」という幻想
2 丸裸の先生が学校を変えていく
3 組織に閉ざされる個々の声
第Ⅱ部 部活動はだれのためか
4 スポーツにケガはつきものか──コピペ事故の構造
5 部活動という聖域
6 「外部化」幻想の落とし穴
7 部活動はだれにとっての問題か
第Ⅲ部 コロナ禍の学校
8 インフルエンザにかからない方法──マネジメントがリスクを生み出す
9 リスクのアンテナ──ゼロリスクをあきらめる
10 だれが子どもを黙らせているのか
第Ⅳ部 校則は変わるのか
11 校則という桎梏(しっこく)
12 コロナ禍が校則を動かした
13 私生活への越権的な介入――「学校依存社会」を読み解く
第Ⅴ部 家庭は安全か
14 コロナ禍における子ども虐待の「消える化」現象
15 減少する子ども虐待、増大する危機感
16 安全の格差、子どもの受難──虐待といじめの地域差に迫る
17 学者は真実を知っている?──いじめのウソとマコトに迫る
エピローグ
文献注
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katoyann
17
『教育と医療』に寄稿していたコラムを編集した本。コロナ禍の学校の状況や部活動の問題などを論じている。部活動は生徒の自発的な活動であるはずだが、いつの間にか義務のように捉えられてしまい、教員の長時間労働の常態化を招いたとする。また子どもにとっても息苦しい活動になっており、将来的には部活動を廃止して地域に根ざしたサークル活動に移行していくのが良いとしている。なお、コロナ禍では、かえって被虐待児が大変な目にあったとしている。エッセイ調なので、読みやすい本だ。2025/07/12
Akki
7
教育書は時々インプットする必要があるから買うことにしているが、いつ読んでも気が滅入るってのが正直なところ。自分はこの時代に何をすればよいだろう。ベターな案はいくらでも浮かぶけれど、共有できる人もいるけれど、ムーヴメントにするほどの力が自分には無いと思ってしまう。生徒の一番近くにいるはずなのに、何も出来ていないと思ってしまう。ならば動けと、内なる自分が常に叫ぶ。2024/01/19