内容説明
時は23世紀、日本の南の果て、大海原のなかに、鉄塊の摩天楼がそそり立つ孤島「キノトリ区」がぽつんと突き出していた。イレズミだらけのならず者たちが力強く生きるその海上の街は、わずかながらもつねに沈み続けていて、人々はコンテナと呼ばれる箱状住居を積み重ねながら暮らしを維持していた。23歳の配達人・キューは、家族との縁は希薄だが、なんとか配達人として公務員になり、愛犬のコエダとともに街の上下に毎日荷物を運びながら、それなりの生活を不満なく営んできた。ある朝、キューはいつものように預かった荷物をひととおりあらためたが、時代遅れのラジオなどロクでもない代物しかない。仕方なく雑に封をし直し、海からの風が吹きあげる灼熱の街へと配達に向かったキューは、この日の誤配によって、思いもよらぬ世界に呑み込まれていく……。日本児童文学者協会新人賞受賞の注目作家と大人気イラストレータによる、息もつかせぬ新感覚SF長編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まる子
21
23世紀の日本。かつては島だったキノトリ区は刑務所から出てきた人の、海に立つコンテナの家がある地区。電子通貨に「糸目」、タブレットが「カワラ」と呼ばれる不思議な未来。主人公のキュー、タマちゃん。ミケとサクラ、ショウ。スイとクロ、メリー。公務員の配達員キューが誤配した配達物と関わる人たち。それぞれの話が交わる時、「そういう流れだったのか!」と時間が交差して繋がる。サブタイトルにある「ラジオ」は重要な仕事をしていた!挿絵が今ふう(?)で人物が想像しやすかった。ファンタジーの要素を持つ近未来のSFだと感じた。2024/03/28
うとうと
13
近未来、海上にコンテナを積み上げ作られた鉄の都市「キノトリ区」。じわじわと沈んでいく街で、人々は上階に移り住むことばかり考えている。気ままな配達人・23歳のキューは、荷物の誤配から思わぬ人々と関わり合う。 老女タマ。最上階に住む警団トガキ。クロとスイ、歌手メリー。義肢装具士ミケと患者のサクラ、恋人のショウ。個性的な人々それぞれの物語が時代を超えて交錯する。 いい加減で調子いいけど憎めないキュー。イラストの手助けもあり、この不思議な街を上ったり下ったり一緒に歩き回っている気がした。この後どうなったんだろう。2026/01/08
一五
12
YA寄りだが、舞台が面白い。絶海の孤島は鉄塊のみで出来ている。九竜城鉄塊版みたいな混沌さのキノトリ。そこで生きるキューと蠢く人々。第2弾でたら読みたい。Sakiyamaさんのイラストがキノトリを垣間見せてくれる2023/10/07
ねこ
8
本のつくり方が面白い。挿画はsakiyamaさんで、本扉前に数ページの漫画がついている。これは編集者さんのセンスかな。登場人物の絵イメージと異なったけれど、子どもたちを引き込む力はあると思う。この作品の魅力はやはり世界観。錆びた鉄骨に腰をおろし、足をぶらぶらさせ海風に吹かれる感覚が心地よい。群像劇のそれぞれの物語にはやや無理が。2024/01/15
梨紗
5
表紙に目がいって何となく手に取りましたが、おもしろかった!海上にあるコンテナを積み上げた町?っていうのも、イラストがあるから想像しやすかった。誤配達から広がっていく人との繋がりがなんかいいなぁ、いやキューは大変でしたでしょうが(自業自得とはいえ)。続編があればとても楽しみな終わり方でしたね。2023/10/31




