内容説明
電子書籍限定にて連載した『このミステリーがすごい! 中山七里「いまこそガーシュウィン」vol.1~4』、待望の書籍化です!
アメリカで指折りのピアニスト、エドワードは、大統領選挙の影響で人種差別が激化し、変貌しつつある国を憂い、音楽で何かできないか模索していた。そこで、3カ月後に予定しているカーネギーホールでのコンサートで、黒人音楽を愛した作曲家、ジョージ・ガーシュウィンの名曲「ラプソディ・イン・ブルー」を弾くことを思い立つ。しかし、マネージャーがガーシュウィンでは客を呼べないと反対したため、ショパン・コンクール中に演奏で人命を救い、一躍有名になった男、岬洋介との共演を取り付けることにした。一方、新大統領の暗殺計画を進めていた〈愛国者〉は、依頼主の男から思わ提案をされー一。音楽の殿堂、カーネギーホールで流れるのは、憎しみ合う血か、感動の涙か。
どんでん返しの帝王が放つ、累計168万部突破の音楽シリーズ最新刊!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
176
岬洋介シリーズの最新刊。舞台はアメリカ。もうね、あの人が頭に浮かんで(中山さん確信犯)読んだ。暗殺者・〈愛国者〉の姿が哀しいが(あなただったのか!)これもまたあり得そうで、大国・アメリカの抱える課題は大きく深い。岬洋介がいつでもどこででも変わらずが好い。次回は『とどけチャイコフスキー』ですってよ(メモメモ)で、その前にカエル男完結編があるようです。そちらとても楽しみです。2023/10/04
hirokun
163
星3 中山さんの岬洋介シリーズの最新刊。このシリーズは今までに三冊読んでおりこれが四冊目。ミステリーと呼ぶのか音楽小説と呼ぶのか難しいところであるが、今回の作品は、少しテーマが枯渇してきたのかなとの印象を持った。さて、ガーシュウィンは、中学校の音楽の時間で習ったこのラブソディ・イン・ブルーとパリのアメリカ人ぐらいしか聞いたことがなかったが、今回再度ネットで聞き直して、感動を新たにした。音楽は、言葉が通じ合わなくても喜びを一体化できることは否定しないが、暴力を抑え込む力があるのだろうか?2023/10/13
ミキ
151
2023-57:岬洋介にまた出会えて嬉しい。しかもガーシュインも好き。愛国者の苦悩が間に挟まれているのも良かった。2023/10/07
モルク
149
岬シリーズ。アメリカで屈指のピアニストエドワードがガーシュウィンの「ラプソディインブルー」の演奏の共演に選んだのは岬洋介だった。ヘイト発言、白人至上主義を掲げる大統領に人種差別が過激となりそれに反発するデモが頻発する中、黒人音楽をルーツにするこの曲で融和をはかろうとするが…黒人に対する暴力の場面が生々しい。それに反して音楽を描写する場面は緊張感と共に圧倒される。この曲を2台のピアノで演奏するってどんな感じだろうと思わずYouTubeを見てしまった。次作はモスクワ編であろうか。2023/12/29
しんたろー
146
シリーズ第8弾は『いつまでもショパン』で脇役だったピアニスト・エドワードを主役にしたニューヨークが舞台の物語…現実の状況を批判する事が多くなった著者らしく、数年前のアメリカでの人種差別問題をテーマに取り上げている。なので、社会派ドラマ要素が強く、初期の頃のミステリの楽しみがないのは残念(サスペンスとなる”愛国者”の正体も透けて見えてしまった)。とは言え、岬が登場する第二章から面白さがアップするし、このシリーズらしい音楽の素晴らしさも感じられた。周囲の者を変えてしまう岬が『隠蔽捜査』の竜崎にも思えた(笑)。2023/11/09