内容説明
デザインは「素敵な妥協」。大量に使われる製品は「研ぎ澄まされたふつう」でなければならない――信号機、交通系ICカードチャージ機、トートバッグ、カトラリーなど、公共機器から生活用品まで手がける人気プロダクトデザイナーが初めて語る、「かたち」をめぐる思考。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
breguet4194q
106
奇をてらわない著者の姿勢が、集約されていると思います。その「形」には意味があるが完結したものではなく、そこにデザインの力を利用して、更にいいもので、誰にでも受け入れられるものにする。デザインにはロマンがあるなと思います。毎回ページをめくるのが楽しみでした。2023/10/09
けんとまん1007
58
インダストリアルデザイナーの仕事。何となくは知っていたが、その中で、秋田さんの考え方が好ましく思う。また、斬新さを求めるのではなく、長く使われることを第一義にされているのもそう。その時だけでなく、先のことや、製造・運搬のことまで含めて考える、その幅の広さがいい。どうしても、目新しさを求めがちだが、そこを敢えて避けるくらいの勇気があるし、それを見習いたい。2023/12/03
Miyoshi Hirotaka
27
武道には型がある。攻防のパターンが体系化され実用性と様式美を体現し、動きには意味があることを師から弟子に伝えている。工業デザインもこれに似ている。設計、製造、流通、販売とデザインの前後の工程からの制約条件の中で合理性や機能性を極限まで追求、かたちには理由があることを表現している。わが国の工業製品がデザイン性を高める方向に舵を切ったのは。量産品の増加で模倣が増え、粗悪品が横行したため。松下幸之助、井深大などの名経営者がこの方向へのリーダーシップを発揮。ユーザーの感動を生む製品が世に送り出されるようになった。2024/12/30
ユーユーテイン
19
プロダクトデザイナーの著者がデザインした数々の製品が出来上がった経緯と、この仕事を続けてきた想いが語られる。信号機、カトラリー、湯呑み、バッグなど、日常生活の中に溶け込んでいるセンスの良い製品。著者は、「すでに飽きられているので、飽きられようがない」正方形や正円、正四角柱、円柱などを使って斬新なデザインを創造する。観察からデザインが生まれ、日常に溶け込んだデザインが景色となり、人々の感性を変えていく。小さな製品が持つ大きな可能性に目を見開かされた。できる所で最善の努力をする著者の生き方にも励まされた。2024/07/21
Tenouji
15
シンプルな形であっても、いろいろ理由があるんだね。2023/10/02