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内容説明
歴史が示す、長期政権のあと――憲政史上、最長となった安倍政権(首相在職日数は二〇二〇年七月三十一日時点で三一四一日)。なぜ、安倍政権は長期政権となったのか。そして、長期政権のあとにはどのような事態が出来するのか――。権力の生理を知悉する佐藤優元外務省主任分析官と現代日本政治論を専門とする山口二郎法政大学教授が、歴史から読み解いていく。見えてきたのは、グローバル資本主義の限界と民主主義の行き詰まり、日本社会の変質と衰弱である。日本はどう変わっていくのか。われわれが迫られる選択とはいかなるものか。近未来への提言・処方箋を擁した警世の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ
79
書店で手に取りお二人の対談ならと購入した最新刊だが、期せずして政局の真っ只中の読了となった。基本、四部に分かれている。安倍政権の総括。長期政権の分析。自民党の分析。そして、今後の我が国と政治の在り方。読み応えある。安倍政権総括と自民党の分析が興味深かった。斬り方も良い。例えば、安倍政権を豊臣政権に擬える等。さてさて、後継者を育てなかった安倍氏が結果またもや投げ出し、戦後総括や高度成長アゲイン幻想も終わりを見せつつある中、コロナ禍という大きな要素も加わり、次政権は短命とは予想されるが、どんな政局が続くのか?2020/08/30
金吾
20
日本政治の課題と考えるべき方向について二人が述べています。考えが混交していませんので互いに何を考えているのかがわかりやすいです。出版時よりも情勢は更に悪化してきているように感じ、暗い気分になりました。あと賛成か反対かは別として、山口さんが思っていたよりまともに思えましたので、読まず嫌いはダメだなあと反省しました。2024/06/11
奏市
19
安倍前総理辞任前の対談内容。まさに長期政権の後の政治がどうなるか興味あり手に取ったが、これからの生き方を考え直す端緒になるような良い内容だった。自分はキリスト教徒ではないが(興味は強い)、2人がキリスト教徒でありそういう視座が入っていたことも含め。歴代長期政権の果たした役割を学ぶ事ができた。小泉政権によって良くも悪くも(本書では悪い方の主張強いが)それまでの自民党政治システムが大きく変わったとわかる。日本は親族間殺人の割合が国際的に見ると高いのか。丁度介護疲れによる心中の短編読んだばかりで考えさせられた。2020/12/06
大先生
10
んー、「長期政権のあと」についての言及・提案が少なくないですか?「自民党政権を振り返る(長期政権の条件)」の方がピッタリかと(笑)。本書の方向性としては、新自由主義(利益追求至上主義)を脱して、社会民主主義的政策・高福祉高負担の社会を目指そう!という話で、私は賛成です。ただ、山口氏は自民党や安倍さんを悪く言い過ぎですね。もっとフェアな評価をするべきかと。まあ、フェアな評価をしても仕事が貰えないから仕方ないのかもしれないですけど(笑)。ちなみに、長期政権の条件は、親米+高株価のようです。2021/02/22
武井 康則
9
安倍政権はなぜ長期間政権を保持できたのか。他の長期政権、佐藤、中曽根、小泉等とどう違うのかなど、あるトピックについて二人がある程度まとまったコメントをするという形式で対話ではない。だから、内容は濃い。ただ時系列ではないので頭の中で話をつないでいかなければならない。世界がグローバル化して緊急の危機対応が必要になり、中曽根が構想し、橋本首相が各分野の構造改革をなそうとしたが果たせず小泉へ引き継がれていく。それは内閣の権力集中となり、安倍首相が恣意的に使った結果が現在であるということ。2020/10/07